Miracles forMitoみどりの会合同ミーティング終了

日本時間朝9時から、コロラド夜7時、シカゴ(夜)、スコットランド(深夜)
日本は朝のケアが大変な時、コロラドは仕事帰りで家族とホッとしたい時
それぞれの生活の中で、ミトコンドリア病患者家が輪になりました。
2回目合同ミーティングも、和やかな雰囲気の中無事終えることができました。
日本側から、8名(オブザーバーの遺伝子カウンセラーの方はお子さんの熱で病院のため欠席)
アメリカ側5名
通訳の大変さ、アメリカとの時間差の配慮からもなどもあり、一時間という配分で進行を考えていましたが、やはり時間は30分程オーバー、通訳も医学用語が飛び交い、とても大変だったと思います。幸い、シカゴ在住の患者さんが助け舟をグッドタイミングで出してくださり、わたしはいろんな人間模様を感じながら、ゆっくりゆっくりミトコンドリア病の繋がりが深まってゆくのを、感じていました。
前回同様、自らもミトコンドリア病と戦いながら、司会進行のの機転の効いた話術、アメリカ側の患者会の組織の暖かさもいっぱい感じました。アメリカの患者さんが一生懸命自分の状況をお話くださり、病院・医師の対応が今一つの悩みは、日本も同じで、地域、病院、医師の対応の格差に悩む患者は、どこも同じだと思ったことでした。日本側からも、アメリカ側の患者会の組織への質問も出ましたが、日本の中でももっと患者会を通じて先生や介護の方たちとの連携も大事だと思いました。
自分としてはピルビン酸ナトリウムのアメリカ側での使用について聞けたことが嬉しかった。もっともっと踏み込んで、あるいは、一人一人が意見を言い合えるまでには、時間がかかると思います。
ひとつひとつ、ゆっくり歩んでいきたいです。
はるみさんレポート、しばらく時間かかりますが詳細はまた今度!

6月13日ピルビン酸ZOOM会 古賀靖敏先生講義内容

日本のミトコンドリア病の一線でご活躍される先生方の講義は、解読するのに集中力がいります。古賀靖敏先生のお話は、我が息子の心身を横に置きながら、解読してゆくと、自然に、納得して行けるところが不思議です。古賀先生が、如何に臨床医師としてたくさんの患者と向き合ってきたか、という証ではないでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

講義内容

ミトコンドリア病

対象患者数 国内約2000人 全世界で約50万人

疾病の概要:ミトコンドリア病は生命維持に必要な ATP を十分に作ることができず、種々の臓器障害をきたす稀少難病である。

 

ミトコンドリア病では 高乳酸血症の方が多い。

特に髄液の乳酸値が高い方ほど、早くなく亡くなってしまう傾向がある。

なんとか高乳酸血症を治療できないかと、田中先生が発案されたのがピルビン酸療法である。

2007年 田中雅嗣先生が、(世界で最初に)ピルビン酸ナトリウムが効くだろうという論文を発表した。(Maitochondrian誌)

 

・・・・・・・・・・

高乳酸血症について

高乳酸血症の患者は、過還元ストレス状態に陥っている。

細胞内では、還元状態の指標として、L/P比が使われる。

(編者注) L/P比とは:乳酸/ピルビン酸比のこと。ミトコンドリア機能を評価するために用いられる。L=Lactic acid(乳酸)P=Pyruvic acid(ピルビン酸)

L/P比が25.6を超えると解糖系によるATP産生が停止する。

血中のL/P比は、細胞内のNADH/NAD+比とほぼ比例する。                        したがってNAD+が減り、NADH/NAD+比が大きくなると、ATP産生が停止すると言い換えられる。

過還元ストレス状態とは、細胞内でNADHが過剰になっている状態。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

治験について

今回の治験は、ミトコンドリア病の中でも患者数が多い、メラス・リー脳症を対象とした。

過還元ストレス状態では、解糖系はもちろん、TCAサイクルも回らなくなってしまう。                                                                                (TCAサイクル:ミトコンドリアで行われる代謝経路。次の酸化的リン酸化においてATPに変えられる。)

ピルビン酸ナトリウムを投与することによって、代謝性アシドーシス(高乳酸=過還元ストレス状態)を改善し、それによってミトコンドリア病の生存率の改善が見込まれるだろうということで、治験をやることになった。

 

(治験において想定される)効能 効果

ピルビン酸ナトリウムのNDA供給作用によりミトコンドリア病などの高乳酸血症疾患における細胞死の抑制、エネルギー代謝の改善により、臨床状況の改善を期待できる。特に筋力や易疲労性、嚥下能力やてんかんの改善効果が期待できる。」

 

ピルビン酸ナトリウムの供給体制について

日本では、武蔵野化学株式会社が  ピルビン酸メチルという形のものを、特級試薬特級品として製造販売している 。

ただし、この薬品はあくまで「試薬」であり、人体に投与されることを想定していない。

武蔵野化学が、創薬目的の原材料として(GMP原薬として)作るのであれば見過ごしましょうというスタンスだったので、経口摂取が可能になっていた。

(編者注:GMP=医薬品の製造管理及び品質管理の基準。「治験をやるためなら、経口摂取も認めましょうというスタンスだった」ということだと思います)

 

治験開始

2014年~2015年 日本医療研究開発機構 (AMED)から予算をもらって 非臨床試験を実施

プロトコール(実施計画書)で、評価項目を策定

 

・・・・・・・・・・

治験を始める前に行った自主臨床研究について。

自主臨床研究への参加基準(エントリークライテリア)

①エンドポイントに乳酸値の改善を設定可能なように、乳酸値が非常に高い人(高乳酸血症が非常に著明な患者さん)

②臨床的評価スケールが中程度以上に重症な患者さん

以上の条件に当てはまる、選りすぐった患者さん13名で自主臨床研究をスタートした。(久留米大学で実施)(編者:まだ治験ではないので注意)

(エンドポイントとは。治療行為の有効性を示すための評価項目のこと。臨床試験(治験)でのエンドポイントは、治療の目的に合っており、なおかつ、客観的に評価できる項目が望ましいとされている。エンドポイントの事後の変更は認められない)

 

後述するが、治験の失敗の原因は このエントリークライテリアが不味かったから。                                                                       (治験本番では、この自主臨床研究と同じ基準で患者さんを募集したのだが、十分な患者数を集めることができなかった。)

 

自主臨床試験の結果は成功。

乳酸値は非常に低下 (TCAサイクルもよく回るようになった)

L/P比も低下

アラニンも低下(乳酸値が高くなるとアラニンも高い数値を示す。その数値が低下)

GDF-15も有意差を持って下がっている (GDF-15:ミトコンドリア病診断バイオマーカー)

 

 

それでも治験に失敗した理由

◎臨床評価スケールが重症でない人(=軽症の人、限りなく正常に近い人)がたくさん入った。

◎自主臨床試験では、いつ測っても乳酸値が高い人ばかり集めたが、治験では乳酸値が正常の人がたくさん入った。

◎自主臨床研究ではGDF-15の高い人ばかり選んだが、治験ではGDF-15が正常の人がたくさん入った。(DGF-15が708以上がミトコンドリア病の基準だが、治験に入ってきた患者さんほとんどが正常だった)

◎治験を受けた患者さんの数が少なすぎて、有意差を明確にできなかった。

それでも、ピルビン酸ナトリウムを投与されたグループは、プラセボ群より(有意差はつかないけれど)良好な結果を得られた。

 

「治験参加患者数が少ないので、長期治験を続ければ有効性が評価できると我々は期待していたが、PMDAの判断で、治験は中止になった」                                   (PMDA:医薬品等の承認審査などを行う組織。)

 

治験後

治験データを精査する中で、ピルビン酸投与群では、PHが正常値より若干高い数値まで回復したという事実を発見した

これはピルビン酸ナトリウムの、PHに対する影響としては 非常にポジティブなデータである。

ただしこの事実は、治験後の精査による発見なので(編者:最初に評価項目として設定していなかったから?)PMDAでは評価されない。したがって再審査は望めない。

 

・・・・・・・・・・

ーー追記ーー

2021年6月開催のアメリカミトコンドリア学会のシンポジウム米国のミトコンドリア病専門医の教育講演で、私(古賀先生)は「アルギニンを使ったMELAS患者の管理法」の話をします。

この講演は、アメリカのミトコンドリア病を診察する専門医の必須の教育講演と
なっていますので、UMDFの講演に関する情報は以下のWebでご確認ください。

https://umdf-mitou.teachable.com/p/umdfmitomedcme21

6月13日ピルビン酸ZOOM会 田中雅嗣先生講義内容

ーピルビン酸ナトリウムの生みの親、基礎研究者田中雅嗣先生の講義ー

田中先生のピルビン酸への研究は、夢と希望に満ち溢れています。
そしてそのアイデアは特筆すべきところがありますが、これからの特許申請の兼ね合いもあり、ZOOM会だけの発表として、ブログ掲載では削除させてもらうところもあります。ご了承ください。夢に向かって走る先生を応援したいです。
レポートまとめに尽力くださいました、山ちゃんありがとうございます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私(田中先生)は 治療薬としてピルビン酸と 診断薬としてGDF15 を同時に開発してきた。
ピルビン酸ナトリウムに商品名として ピルビット(Pyruvit)という商品名まで考えた。
「私(田中先生)は理論と実験専門で 診療経験はありません」とのことです。

・・・・・・・・・・
ミトコンドリアは一個の細胞の中に数百から数千個存在している。

また、ミトコンドリアは細胞内の発電所と呼ばれ、水素と酸素を反応させ ATP (生物のエネルギーの供給源)を合成している。

「NAD+」と「NADH + H」は、水素の運び屋。体内で重要な働きをしている。                                  (その仕組の説明がありましたが、編者には理解不能でしたので、省略!)

水素の運び屋であるNAD+は ニコチン酸アミドと言う部分があって、この部分で水素の受け渡しをしている。

 

・・・・・・・・・・
ナイアシン は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB₃ とも言う。

「ミトコンドリア病の患者にはナイアシンが足りない。ナイアシンを補うことによって元気が出る」という論文が最近出た。

その「ナイアシン療法」というのは1日にナイアシンを500mg から1000 mg 摂取する療法。                                           (この療法は、筋肉にもいいし肝臓にもいい)

ナイアシンを大量に服用すると、顔が赤くなったり、顔がかゆくなったりする。          これはナイアシンフラッシュと呼ばれている。                                           ナイアシンフラッシュは、むしろ健康に良い。

私(田中先生)は、ビルピット(ピルビン酸ナトリウム)とナイアシンを同時に摂るとよいのではないかと考え、(その薬に)ピルビナックと言う名前を考えた。 (未完成)

・・・・・・・・・・
私(田中先生)が最初にピルビン酸が重要だということを知ったのは、ミトコンドリアDNAを失った細胞や呼吸機能を失った細胞を培養するには、ピルビン酸が必須だと実験を通じて知ったこと。以後(ピルビン酸の研究を)やりたいと思っていた。

ブドウ糖がピルビン酸になりさらに乳酸になる過程で、 NADHができても、NAD+ に戻されるので、収支はゼロ。しかしアミノ酸などを分解すると反応でNADHが生じるので、細胞全体としては水素(NADH)が溜まり過ぎてしまう。
そこにピルビン酸を入れると、水素(NADH)の過剰(過還元状態)が解消する。

ミトコンドリア機能が全くゼロでも、ピルビン酸を1分子飲むと ATP が少なくても2分子できる

・・・・・・・・・・
ピルビン酸はお酒の元。

発酵の時には、ブドウ糖がピルビン酸になって、さらにピルビン酸がエタノールに変わり、CO2が出てくる (途中でアセトアルデヒドもできる)

日本酒・ビール・ワインの醸造過程において二酸化炭素の泡が出ている時、そこにはピルビン酸が大量に存在している

一方、ヒトがお酒を飲むと、アルコールはアセトアルデヒトを経て酢酸(お酢)になる。この過程で、NADHが大量に発生し、過還元状態になる。そのため、大量飲酒で脂肪肝になる。

ピルビン酸を飲むと、アルコールが速く代謝され、脂肪肝を予防できる(この件で特許取得した)

・・・・・・・・・・
体が ATP を得る方法は二つしかない。

一つは解糖系(=細胞質で解糖系が ATP を作る)

もう一つは 酸化的リン酸化系(=ミトコンドリアでゆっくり ATP を作る)

解糖系は短時間に大きなエネルギーを生む。酸素はいらない。息を止めても走れる短距離走型。

逆にミトコンドリアは、ATPをゆっくりしか作れない。酸素が必要。呼吸しながら走る長距離走のようなもの。

トレーニングによってミトコンドリアが鍛えられると、次第に運動強度を上げて行った時、乳酸値が上昇し始めるのが遅くなる。

・・・・・・・・・・
乳酸は、今まで言われてきたような「疲労物質」ではない。

素早いエネルギー源としての糖類は、必要な時に瞬間的にエネルギーを出す力に優れている。

この時、体内では糖から乳酸になる反応が起こり、乳酸はミトコンドリアによって最終的に多くのエネルギーに変わる。

ただしミトコンドリアが 乳酸を使うための反応速度は 糖が乳酸に変わる反応速度よりも遅いので、結果、体内に乳酸がたくさん溢れてしまう。

・・・・・・・・・・
人が ATP を得る方法は上記の二つしかない。ミトコンドリアに期待できないなら、解糖系に頼るしかない。

乳酸自体には毒性はない。 NADH があまりにも多すぎると解糖系が動かなくなるので、解糖系を動かす方法としてピルビン酸ナトリウムを投与する。

L/P比(乳酸とピルビン酸の比率)が25.6以上になると、解糖系によるATP産生が停止する。

ピルビン酸を入れると(乳酸もできるが) ATPができるようになる。

 

・・・・・・・・・・
ピルビン酸に関する論文

ピルビン酸の最初の臨床応用。 2010年 小牧先生(国立精神神経センター)
「Pyruvate therapy for Leigh syndrome due to cytochrome c oxidase deficiency」

 

ピルビン酸療法の臨床評価について 2014年 藤井先生が第一著者 村山先生 古賀先生 他
「Efficacy of pyruvate therapy in patients with mitochondrial disease: a semi-quantitative clinical evaluation study」

 

最近のハーバード大学の研究
「LOXCAT」実験                                 (LOXCATとは LOX=乳酸酸化酵素と、CAT=カタラーゼを結合した人工酵素)
この人工酵素の働きは、「乳酸を乳酸酸化酵素で直接ピルビン酸に変え、その過程で生じた過酸化水素をカタラーゼで水と酸素に戻す」というもの。
ピルビン酸が足りなくて乳酸がいっぱいある人には効果があるのではないか?
現時点では、実験段階にとどまる。

古賀先生の次の論文 (まだ未発表)
「A ranfomized,placebo-controlled study of sodium pyruvate in patients with mitochondrial disease」 (ピルビン酸ナトリウムの無作為化プラセボ対照試験)

 

・・・・・・・・・・
ミトコンドリア病の赤ちゃんは、母体と切り離されると、高乳酸血症を発症する
胎内では、胎児は乳酸を作るかもしれないけれども、母体の方で乳酸からブドウ糖を糖新生系によって再生し、赤ちゃんに戻すということが行われている。
それと同じように、乳酸の高い人は、血液透析で乳酸を除いてその代わりにピルビン酸を入れるということも、可能かもしれない。
そのための点滴用のピルビン酸ナトリウムは、まだ未承認である。

・・・・・・・・・・
ドイツでの臨床試験の報告 1999年
特発性心筋症患者さん8人にピルビン酸ナトリウムを直接注入した結果、心臓が元気に動いたという報告がある

・・・・・・・・・・
2020までのピルビン酸ナトリウムの治験結果、アシドーシス(血液の酸性状態)が改善されたことがいちばん重要なことだと考えている。

 

・・・・・・・・・・
「きんさんも天国で頑張っていると思うので、私ももう少し頑張りたいと思います」

 

 

 

6月13日みどりの会ピルビン酸ZOOM報告

このレポートは、ピルビン酸を必要な患者に届けたいと、声を上げてくれた3人の患者家族の方達による、貴重な資料です。

生活の殆どを患者のケアに当てながらも、先生たちに必死に声を上げ、まとめてくれましたことに感謝いたします。

田中雅嗣先生と古賀靖敏先生の講義については、後日レポートいたしますので、もう少しお待ち下さい。

❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤

レポート

■開催日時 6月13日(日)19:00~21:00

■参加者 田中雅嗣先生 古賀靖敏先生 村山圭先生(順不同)

きらら(みどりの会代表) 他11名

■田中雅嗣先生より

「ピルビン酸薬の開発について」スライドでご説明(編者:後日掲載予定です)

■Aさんから質問

1)ピルビン酸はミトコンドリア病に効果があるように思う。治験が中止になった理由を知りたい。

→田中雅嗣先生

治験を開始する際に、ミトコンドリア病の重症度の点数を良くする(病態を改善する)ことを PMDA(医薬品などの承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織)に約束して治験を始めた。明確な変化がないと治験の継続を認めない約束だったが、残念ながら明確な変化があったとは認定されなかった。

詳しくは後ほど古賀靖敏先生からご説明いただく。

2)再治験、再審査は可能なのか?

→田中雅嗣先生

再審査はできない仕組みになっている。再治験も非常に難しい。

ピルビン酸の治験を行うのに、国から10億円くらいの投資をしてもらっていた。

治験を継続するために、協力してくれる製薬会社を探したが、4社に断られてしまった。

元々治験に協力してくれていた製薬会社に再協力していただくのに10億円。治験継続するために最低でも30~40億円かかる(と製薬会社は考えている)

■村山圭先生からご質問

ピルビン酸を投与すると乳酸値は上がりそうですが、上がらないのはなぜか?

→田中雅嗣先生

高乳酸血症の方などは、腎臓からたくさん乳酸が尿に排出されるが、それが再吸収されないので上がりすぎない。

■古賀靖敏先生より

Aさんの質問(2)に対してのご回答

再治験については、製薬企業が決まっていないので不可能。

治験には十分なエントリー数が必要なのと、エンドポイントを明確にする必要があり、それをもとに審査するので再審査は不可能。

(エンドポイントとは。治療行為の有効性を示すための評価項目のこと。臨床試験(治験)でのエンドポイントは、治療の目的に合っており、なおかつ、客観的に評価できる項目が望ましいとされている。エンドポイントの事後の変更は認められない)

■Bさんからご質問

1)田中雅嗣先生のスライドでのお話にあったピルビナック(ピルビット+ナイアシン)アシドーシスの補正材で治験は行われるのか?

(ピルビット→田中雅嗣先生命名のビルビン酸ナトリウムの名称。ピルビナックも田中雅嗣先生の命名)

→田中雅嗣先生

ピルビナックは私(田中雅嗣先生)の夢。実際は2つの薬剤を併用する場合は、1つ1つの薬の安全性を個別に確認しないといけない。

2)田中雅嗣先生のスライド解説の中にあった、ナイアシン療法は日本では可能か?

→田中雅嗣先生

フィンランドで限られた患者さんに試して、ちょっといいかな?くらいの効果。安全性の保障はないので投与するのは自己責任で。

3)水素水は効果あるか?

→田中雅嗣先生

私の周りにも研究されている方がいらっしゃるがあまり効果はないんじゃないかな?

■古賀靖敏先生より

「ピルビン酸治験中止の理由」についてご説明(編者:後日掲載予定です)

■きららさんからご質問

久留米だけでの治験だったのか?

→古賀靖敏先生

オールJAPANで行った。

古賀靖敏先生の患者様150名の中の、選りすぐった13名の方による自主臨床研究(治験の前に行われる臨床実験)では良い結果だったが、オールJAPANで行った治験では良い数字が出なかった。(編者:理由はスライドの中で解説されていますので、後日アップします)

きららさん「QOLが下がった時に選択肢としてピルビン酸があると安心ですね

■Aさんから質問

以前古賀靖敏先生とお話した際に糖尿病薬としてピルビン酸の治験を、というお話を伺ったがどのようになっているのか?

→古賀靖敏先生

今はそのような治験はしていない。(インスリン注射による薬物療法が定着したため)

■Cさんの質問

ピルビン酸の効果を感じているので今後も安心して服用したい。

服用するにあたり

1)炭水化物の摂取を控えた方が良いか?

2)水以外の水分と混ぜても大丈夫か?

→Gさんの経験談

量が多かったけれど、水で服用できていた。

→きららさんの経験談

クエン酸だと割とのみやすかった。

→古賀靖敏先生

・食事に制限はない。

・オレンジジュースなどでも大丈夫。

■Dさん

病院で採血すると乳酸値が高くなったので、糖を制限していたが、制限しすぎと病院で指摘され普通の生活に戻している

■Bさんご質問

1)ピルビン酸がやはり諦めきれないので、コンパッショネートユースでどこかで入手できないか?

→古賀靖敏先生

大阪母子医療センターでは病院長の許可をとって使用している。

ただし、治験ではないので効能、効果を訴えても医薬には繋がらない。

2)全国的に広がるのは難しいのか?

→古賀靖敏先生

判断できるドクターは少ない。

3)サプリメントにはならないか?

→田中雅嗣先生

中国産のピルビン酸カルシウムというのがアメリカで販売されている。

下痢が少ないようだが、安全保障がない上に高価になる。

→きららさん

大阪母子医療センターに問い合わせるということも考慮してみてもいいかも。

4)再治験のために先生方に協力できることがないか?

→古賀靖敏先生

たくさんの方が服用していると、治験が成り立たない。

6月23日のアメリカのUMDF(米国ミトコンドリア学会)でピルビン酸研究の話をする予定。

■Eさん(アメリカ在住)

アメリカと日本の情報も違うところがあるので、興味深い

■Fさん

高齢の方にも良い薬などはあるか? また透析についてお伺いしたい

→古賀靖敏先生

透析をすると、悪いものが抜けるが良いものも抜けてしまい、Melasの方などは、透析後にアルギニンが不足して頭痛を起こす方がいる。

透析前後でアルギニンを別包で服用すると良い。

以上。

みどりの会オンライン交流会報告

みどりの会のZOOM交流会は、4回の招待メールを送る長丁場になりました。
発症年齢も、病状も、立場も、様々で、質問事項も多種多様でした。
はるみさんがまとめてくださった、皆さんのそれぞれのミトコンドリアエピソードは、とても深い家族の絆があり、
個人の大切な情報です。ブログを通して、他の患者家族んみなさまへの生活の糧となるように大事に扱っていただけたらと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
記録
◆みどりの会 主宰 伊藤千恵子ご挨拶
◆アメリカ患者会との交流について
 第一回 2021年4月17日(土)実施
第二回 2021年6月26日(土)AM9:00~開催予定。当日は視聴だけの参加でも大丈夫です。
アメリカ患者家族の方々もとても温かい方ばかりです。通訳スタッフもいますので、気軽にご参加ください。
◆懇親会での内容は非常に貴重なものであり、また個人情報が多く含まれていますので、各自慎重に取り扱ってください。
◆個人的にコンタクトを取りたい方同士をつなぐことも可能です。
◆事前に送信済みの参加者の自己紹介をもとに、各自簡単なご挨拶
<参加者それぞれの発症時・現在の病状・予後の不安など>
◆世界でも数名しかいないメラス586変異遺伝子がみつかり、進行が早く、急に食べられず、話すことが出来なくなり、栄養チューブから、現在は胃瘻管理となっている。医師からは、もしも急変した際に、急遽気管切開の判断を迫られることもあり得ると言われた事があり、今は症状が安定しているが、心の準備も必要なのかとも思っている。(娘メラス発症-母)
◆腎臓移植が必要になり、日本で親から子への移植を計画していたが、コロナの影響で保留。膵臓移植も必要と言われ、心臓にも影響があり、次々に現れる症状に戸惑っていたが、最近ミトコンドリア病であることを知った。皆さんの経験を聞いて参考にしたい。(娘メラス―父)
◆更年期に、脊髄小脳変性症とミトコンドリア脳筋症を発症。クレアチニンの値が高値で週3回の透析を受けている。認知症の進行を抑制するためにも服薬は最小限に減らして過ごしている。(母ミトコンドリア脳筋症発症-娘海外在住)
急性期のアルギニン投与がなかなかスムーズにできない場合もある中、比較較的早い段階でアルギニン投与を受けることができた。知的退行があるが、現在は難聴の進行が一番気にかかっている。年々徐々に聴力が低下しており、現在は補聴器を付けて生活している。(娘メラス発症-母)
◆失語から始まり発症し、視力、高次脳機能障害、難聴、手先の不自由さがあり、コミュニケーションをとることが難しくなってきた。(息子メラス発症-母)
◆2才時に歩行困難から始まり、呼吸困難。当初はリー脳症疑いでビタミンB1の大量投与を行った。ビタミンB1の投与が効いたのか、大脳基底核の壊死部分が黒くなり歩行可能となった。思春期まで普通級に通えており、その後自閉傾向が強くなり、現在は精神科メインに受診している。(息子リー脳症PDHC発症-母)
◆独歩が始まってから、途中でクルっと回転したり、歩き方に違和感を感じ始め、検診でも歩く練習を勧められるが、転倒が目立ち始める。違和感を感じた母は検査を進め、脳に病変が見つかる。一時は低酸素脳症と診断を受けるも、他病院にてミトコンドリア病リー脳症が判明した。(息子リー脳症発症-母)
◆11年前の発作により、脳の1/4の機能にダメージを受けてしまい、障害が残った。その後6年ほどは症状が安定しリハビリに取り組んでいたが、新たに脳の違う部分に再発し、障害が増えた。現在もリハビリを行いながら、一人暮らしをしている。
なだらかに少しづつ出来なくなっているのが現状だが、横ばいで過ごせるように願っている。読み書き・理解・計算などは難しくなり、コミュニケーションが上手くとれずに言い合いになってしまう事もある。本人は進行を自覚、理解しているため辛いと口にしている。発症当時、医師には一年先の予測をするのは難しいと言われ、家族で一緒に過ごす時間をとても大切にして過ごしている。(息子メラス発症-母)
◆生後半年で発達不良、1才7か月でリー脳症と診断を受ける。疑いの時から乳酸値が高値で、呼吸の不安定さを感じることがあった。突然の呼吸不全から、人工呼吸器管理となり現在自宅で過ごしている。(娘リー脳症-母)
◆新生児期より低緊張で独歩が遅かった。重度の知的障がいと多動症がある。2歳の時に高熱から全身脱力、眼球上転が続き、筋生検を実施。呼吸鎖複合体IV欠損が判明した。現在養護学校に通っている。(娘 呼吸鎖複合体欠損症-母)
◆発症から7年目を迎え精神症状の悪化がみられている。日頃は通所に週5日通い、絵を描いたり、釣りを楽しんでいる。親しい方を亡くし、精神症状の悪化がみられ検査入院。精神症状の悪化による病状の進行との診断。数年間の働きかけで、アルギニン点滴を在宅療養でできる環境となり、地域の医師や訪問看護との連携が重要だと実感している(息子メラス発症-母)
◆数か月前、夫がメラスを発症。乳児も抱えており、職場への復帰や今後の生活の事を考えると色々な面で不安がある。(配偶者メラス-妻)
◆生後6ヵ月までは通常発達。7ヵ月頃から嘔吐・胃腸風邪があり、その後、目が開かなくなった。大きな病院での精密検査を勧められて、現在はリー脳症疑いで遺伝子検査の結果を待っている。今後どうなってしまうのかとても不安。入院時と比べ、在宅療養時の乳酸・ピルビン酸値が高値で原因が解っていない。摂取するものの影響があるのか。(息子リー脳症疑い-母)
<食事に関する事>
◆栄養士さんにg単位で計算をしてもらい、ケトン食を食べさせていたが、想像以上に脂質が多く驚いた。消化の問題もあり、一時中断したが、現在は安定して過ごせている。(息子リー脳症-母)
◆赤ちゃんに、スムージーを飲ませているが、糖分が多すぎではないか不安。低血糖も良くないと言われている。(息子リー脳症疑い-母)
◆ケトン食を勧められ、脂肪分の高い粉ミルクに牛乳を混ぜて飲ませていた。野菜を多めに摂る食生活を意識している。ケトン食と、ビタミンB1の摂取で病状が安定したように感じている。(息子リー脳症B1依存性のPDHC欠損症-母)
◆徹底したケトン食のような管理はしていないが、日ごろから糖質少なめ脂質多め
の食事を心がけている。(娘呼吸鎖複合体欠損症-母)
◆夏場は暑さに弱く、食欲も低下気味の時があった(娘メラス-母)
<呼吸の管理に関して>
◆時々赤ちゃんの呼吸が不安定になることがあり、不安である。
◆呼吸困難を起こしたことはないが、てんかん発作が増えたため、睡眠時には足にモニターを付けるようになった。
◆現在、市販でモニターを購入する事もできる為、呼吸が不安定など感じるようだったら、睡眠時にモニターを付けると安心だと思う。
新生児期の風邪気味の時などに呼吸の不安定さを感じ受診したが、その時は発症前で原因が分からないままだった。
<通所・レスパイト・ショート・福祉支援について>
◆主に身の回りの世話をしている親の年齢を考えると、ヘルパーさんや外部の方の介入も必要であると考えて、一度、ヘルパーさんにお願いしたこともあった。しかし相性が合わず、本人が嫌がってしまった経緯もあり、自分が元気な間は自ら世話をしてあげたいという思いも重なり複雑な心境である。障がい福祉の支援等も受け入れていかなくてはいけないとも感じている。
◆患者のサポートをしている家族が元気に過ごすためにも、レスパイトやショートスティ、ヘルパーさんの介入、訪問看護などを利用することは必要なのではないかと感じている。
◆成人期になると、体格も変わり、介助も大変な部分が出てくると思う。医療的ケアのできる看護師さんのいる通所へ週5で通い、月2回程度は2~3泊でショートを利用している。
◆高齢の患者が外出したいときに、近くに付き添いのできる親族がおらず、どのような手段があるのか知りたい。
◆障がい福祉課で移動支援の受給者証を申請して、使用できる事業所を探す流れになっている。相談員さん、ケアマネージャーなどに移動支援の申請をしたい旨伝えてみてはどうか。
◆週3回訪問看護、週2回通所に通っているが、本人はあまり行きたがらない。ベッドに座って1日すごく事が多い。
◆本人は通所に興味がなく、自宅での生活が多くなっているが、介助できるのが実質母親一人になっている状況で、一人で見守る苦労もある。
<アルギニンについて>
◆急性期に地元の病院では対応できないと言われたが、他県のこども病院にて、アルギニンの治療を早い段階で開始できいる。
◆アルギニン点滴は、脳梗塞用発作の時は速やかに投与できる環境が望ましい。また、急性期を過ぎ、在宅療養時の不穏時にはアルギニンに対して理解ある医師と訪看をつなげて施術してもらうことで、入院することを免れる状況になれた。
不穏時の点滴は、睡眠の質が良くなり、血液の循環、皮膚の状態にも効果を感じている。
現在、古賀先生を軸に、医師と患者が共にアルギニンの保険適用に向けて、活動している。
<ピルビン酸ナトリウムについて>
◆現在ピルビン酸を飲んでいるが、今まで見られていた疲れやすさがなくなった。夏場の食欲不振があったけれど、現在も安定して過ごせている。
◆以前、ピルビン酸の治験に参加しており、服用により覇気があり、声を良く発したり、飲み込みが良くなったのを感じていた。
大阪母子医療センターでは現在もピルビン酸の処方が出されているという情報あり。(女性医師)
田中先生や古賀先生にピルビン酸の入手について知恵を頂いてはいかがか。
<遺伝カウンセラーより>
ミトコンドリア病は、とても複雑で病状も多岐にわたる為、医師の立場、カウンセラーの立場であっても、とても難しい病気だと感じている。希少難病であり、情報量が他疾患に比べ少ないため、病気が判明して受診される方々は孤独を感じやすい状況だと思う。みどりの会のような、患者・患者家族・医師などの交流が活発になることで、必ず研究にも繋がってくると感じています。遺伝の事等、疑問に思う事、質問したいことがある際は、遺伝カウンセラーに相談してみてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はるみさん、大変貴重な記録をまとめてくださり感謝。
ミトコンドリア病は、複雑で掴みどころがない疾病であるため、孤独になりやすいのが実態です。
そこで、どこまで患者家族が支えあえるのでしょうか。
発症したばかりの乳飲み子を抱く母親の姿、乳飲み子を抱えた母の連れ合い発症の語り、
老体にむち打ち患者の介護に不安を募らせる表情。いろんな切り口で、感じあい、生活する私達は何を持って
明日を生き抜くのか。一回のZOOMでは語り尽くせませんが、参加した皆さんは、心開き、今の思いの丈を述べ、
自分のことのように、他の皆様の話を聞いてくださったり、自分の知っていることの限りをアドバイスくださったり、
今を乗り越えるための皆さんの輪を感じたのは、わたしだけではないと思います。
必要な人と人はつなげていきましょう。
追伸
技術スタッフyamaさんのおかげで、前もっての個人練習も何度か行ってもらい、ZOOM交流会の流れもスムーズでしたが、4回の招待メール送信は、トラブルが生じやすいこともわかりました。無料版の限界もあり、有料版購入しました。

みどりの会ピルビン酸ZOOMについて

 

 

6月3日のみどりの会患者会オンライン患者家族会

無事終了しました!お忙しい中、たくさんの参加・協力くださいましたこと
心から感謝申し上げます。

ミトコンドリア病は、発症年齢、病状、予後、一人ひとり全く違い、本当に複雑です。
患者家族も様々な立場で、この病に向き合う姿勢を感じ合い、改めてミトコンドリア病患者家族会の大切さ実感しました。この報告は、今、はるみさんが、まとめてくださっていますので今しばらくお待ちください。

 

さて、今回の患者会で、ピルビン酸ナトリウムの話になりました。去年の10月の村山圭先生・古賀靖敏先生を交えての懇親会でも、ピルビン酸ナトリウムを所望する声は上がっておりました。

同じように悩む家族の思いは、連鎖して伝わります。患者家族のまきこさんから、ピルビン酸を所望する声を上げたい!とのメールを受け取りました。
自分は去年の患者会のピルビン酸の話題から、生みの親である田中雅嗣先生とメールを交換させて、先生がピルビン酸復活のために、大変ご苦労されていることも知っておりましたので、患者家族が望む方が多いということで、今回ZOOMでピルビン酸についての話し合い会を持ちたいと思いました。

急遽、ピルビン酸ナトリウムZOOMを行うことにいたしました。

 

みどりの会ピルビン酸Zoom
6月13日日曜日19時から

参加してくださる先生
田中雅嗣先生
古賀靖敏先生
村山圭先生

今回のZOOMは、患者家族の自己紹介はなく、基礎研究者、臨床研究者・医師のお話を聞き、ピルビン酸を使用している患者の体調やピルビン酸を所望している患者家族の声などをお聞きして、いろんな角度から、ピルビン酸について勉強、患者のために必要なピルビン酸を入手するための知恵を交換し合いたいと思います。

参加者は20名限定。無料。
ピルビン酸入手のための協力要請ということで賛同前提での参加をお願いします。

連絡・問い合わせ先 himawarinotubu@gmail.com 伊藤千恵子