新生児期発症のミトコンドリア病の詳細について世界で初めて大規模報告

 

千葉こども病院村山圭先生

 

先日のオールジャパン患者家族会で、ファシリテーターを務めてくださった村山先生、患者家族の質問に真摯にお応えいただいた大竹先生たちのグループが、日本で出生した新生児期発症のミトコンドリア病1281症例を検討し、臨床的な特徴、遺伝子診断結果や予後についてまとめ、その研究結果を論文報告してくださいました!

今回の研究は新生児期発症のミトコンドリア病症例を大規模にまとめた、世界で初めての報告になります。
この報告によって新生児期に発症が多い重篤なミトコンドリア病の新たな病態解明と、病因遺伝子に基づく治療開発などミトコンドリア病研究の、さらなる発展が期待されます。

本研究成果は、新生児関連疾患に関する論文を広く取り扱う欧州の医学雑誌『Archives of Disease in Childhood Fetal & Neonatal edition』誌のオンライン版に令和3年10月8日付で公開されました。

詳細は 以下をご参照ください!

https://www.amed.go.jp/news/release_20211008-02.html?fbclid=IwAR1wmqAKxxV1O52lQv8QPd-HBK6zkq9PhBDSum9pXrp7r9aE9YlI65TtRFo

ミトコンドリア病におけるアルギニンの保険適応について 

 

2014年7月、次男龍は、17歳、高校野球応援と受験勉強で疲れている頃、夜中、目をむいて倒れている姿を発見。あわてて緊急搬送。偏頭痛と言われ、数時間すると、疲れてはいるものの、生活できるほどに戻っていました。しかし、何度も倒れていくうちに、事の重大さを知っていきます。

秋にはミトコンドリア病メラスと診断され、入院先の大学病院に、ネットで調べたアルギニン静注点滴の再三の要望にも、「保険適応外」の一つ返事で却下されました。その後、アルギニン点滴については、古賀先生、村山先生始め、たくさんの専門医からアドバイスを頂き、病院側に交渉した末の、発症から半年後、他の病気の検査薬として、自費(月8万円ほど)で入れてもらいました。しかし残念ながら、すでに龍の脳の高次機能は悪化しました。

龍は、2015年、合計半年の入院生活を経て退院して以降は、検査入院以外の大きな入院は有りません。退院後は、なんとか自宅療養をしたいと、必死になって不隠時のアルギニン点滴を自宅でやってもらえるルートをさがしました。

発症時から何度も倒れる龍の様子をはっきりと覚えていますから、いつもと違って、体と心の不穏状態が続くようなときは、本人からのアルギニン所望の意志を看護師と確認し、アルギU点滴静注20グラムを一回入れてもらいます。みどりの会の調査では、頭痛時に外来での一回の点滴で調子を戻したケースも有りました。急性期を過ぎた後の慢性期においても、アルギニン点滴を実際に入れてもらえると、本人が落ち着いて睡眠と栄養を取れ、生活のリズムが取り戻せるようになっています。

発病当初の苦い経験と、在宅療養におけるアルギニン静注点滴の実践を元に、同じ様に苦しむ患者様が全国どこでも平等に処方できるようにと、2020年春から、久留米大学医学部小児科古賀靖敏先生と、アルギニンの保険適応を求める活動をはじめました。古賀先生から送られた資料は莫大でした。

みどりの会でも呼びかけて、アルギニン点滴の実施状況、患者のその後の様子など何件かまとめさせてもらいました。しかしながら、厚労省の医薬品審査管理課、製薬会社などに当たり尽くしましたが、患者の声を親身に聞いてはもらえても、大きな組織の中では痛ましい声だけが、宙に舞っていました。

2021年6月国立成育医療研究センターの中村秀文先生から、厚生省保健局長通達「55年通知」の審議にかけるというお知恵をいただくことができました。

結果、古賀先生の多大な労力を元に、やっと、日本でもアルギニンの保険適応が叶う道がつながることになりました。

以下古賀先生より、皆様へお手紙です。

 

MELASに対するアルギニン治療の適応外使用は、日本では限られた施設で処方されています。アルギニン治療は、MELAS患者の脳卒中様発作急性期治療としての静注治療と、発作予防もしくは発作時の重症度を軽減するための内服治療により、MELASの長期予後を改善し、死亡率を軽減する事が、治験参加症例の9年間のフォローアップ研究で明らかになっています(J Neurology 2018)。静注および内服の2つの治療は、何れもMELASの生活の質の向上に必須の組み合わせであり、ミトコンドリア病の治療薬剤として、国際的な専門学会(Mitochondrial Medicine Society)から治療推奨薬剤として位置づけられています(Genet Med. 2017)。欧米では、ミトコンドリア病の診断がついた場合、全例に使用されている一般的薬剤となっています。

 

日本では、アルギニン処方は、適用外使用であり、全国どこでも処方できる訳ではありません。MELASに対するアルギニン治療の提唱者である久留米大学医学部小児科古賀靖敏は、アルギニン治療が欧米と同様に、日本全国どこでも使用できるように申請書を提出中です。救済措置として、厚生省保健局長通達「55年通知」を利用し、アルギニン処方を公知の事実として、保険適応として全国で扱えるように国に申請中です(2021年9月11日現在)。今後、日本小児科学会の薬事審査員会(2021年10月)、その後に厚生労働省医薬審査課、支払基金審査会で審議の上(2022年1月)、うまくいけば2022年4月から全国で処方できる見通しです。

 

患者家族会の皆様には、今しばらくご不便をおかけする事になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

GDF15   PMDA承認について

古賀靖敏先生からの嬉しいお知らせが届きました。
かねてより田中雅嗣先生と共同研究で開発していましたGDF15のミトコンドリア病診断薬としての承認がPMDAからおりました
医学生物学研究所と共同開発した新しいデバイス「MEBLIAスト GDF15」は、全国の病院で使用される汎用自動分析機に搭載可能で、0.2mlの血清で測定時間10分、感度・特異度92%以上の性能を誇ります。また、1時間で約1000検体の連続測定が可能となり、ミトコンドリア病遺伝子検査前の診断に大きな力を発揮します。
 世界のミトコンドリア病診断アルゴリズムを大きく変える「トランスレーショナルリサーチ」の成功例となります。
新しいデバイスの論文は、添付します。
この研究により、ミトコンドリア病の診断が10分で出来、患者の早期発見、早期治療が可能となります。

 

jimd.12317 (Koga)

ライトアップ記念日  You’ll Never Walk Alone!

 

IMP(International Mito Patients)というミトコンドリア病の国際組織は、国境を超え、患者のサポートや資金集めなどを活発に行っている組織です。
この組織が、ミトコンドリア病週間に世界の様々な場所をみどり色にライトアップすることで、ミトコンドリア病の周知啓発運動を推進しようとしています。
オーストラリアのミトコンドリア病患者組織「Mito Foundation」のフレザー佳奈さんの呼びかけも有り、MCMの世話人山田源太郎さんが横浜市に掛け合い、横浜市開港記念会館を、
9月24日から27日までライトアップする運びとなりました。

山田さんが一生懸命に働きかけたライトアップも、素晴らしいつながりになりました。
みどりの会zoom室は、山積みの残務整理もそこそこに、やや不安でしたがメラスの息子龍を連れて、ライトアップの光景を見に横浜開港記念会館まででかけました。

龍の誕生日間近。発症から8年目。25歳の記念すべきライトアップ。騒音や人混みも不安です。
開港記念会館は、海の近くなので開放感もありそう?という予想に反して、横浜の中心地。車が四方から飛び交う交差点の一角でした。
龍は去年から精神症状が悪化していて、新しく馴染みのない環境に対して、ひどく緊張するようになりました。
自分がどう見られているのか。
慣れない場所で、車の騒音も、人混みも大の苦手。
案の定、不穏になって路上で寝転び、頑なに移動を拒否する龍と、その龍を移動させようとする母は、警官からの尋問にあいました。

焦りまくりましたが、おまわりさんに、「開港記念会館がミトコンドリア病の周知理解のため、ライトアップされ、皆で記念して集まったんです」と、咄嗟に出た言葉が周知啓発できたか?血迷った親子をかばうように、遠路足をお運びくださった後藤先生と村山先生も、「専門医も一緒ですから大丈夫」とお話くださいました。
おまわりさんからは「勉強不足で申し訳ない」と言っていただき、「撮影させてもらいます」と、さらにライトアップの前にならぶミトコンドリア病関係者たちの素敵な写真を撮っていただきました。

それから、皆さん、三々五々別れたのですが、残って私達親子を見守る山田さん。じっと龍の話に耳を傾けてくれるその眼差しに、吸い寄せられるように龍は山田さんに近づきました。(正気な目でゆっくり起き上がり、足元もしっかりと。)

「龍と同じミトコンドリア病の仲間だね。ひとりじゃない。友達。」

龍と山田さんは自然に握手を交わし見つめ合いました。
しばらく静寂の中、ライトアップを前に繋がったミトコンドリア病の友情に、私も龍の弟も感激で時間が止まりました。緊張感が一気に流れを豊かにし、温かい灯火が私達の周りを包みました。
改めて、病は辛い。だけど必ずそこには希望の道が繋がれる。
先生や患者家族みなさまにに助けられるーそう思いながら、私達にとっても大事な意味を持つライトアップ記念日でした。

You’ll Never Walk Alone!(村山先生から送られた言葉)

※写真は、2人の専門医、後藤先生と村山先生。村山先生の奥さんとお子さん2人。その周りに、患者会のみなさんも並びました。(寝転んでいるのが、龍です^^;)

オールジャパンミトコンドリア病患者家族会報告 質疑応答

 

 

今回のオールジャパン患者家族会開催において、両患者会の願いは、患者の悩みにたくさんの専門医のアドバイスが頂けることでした。そのために、ミトコンドリア病患者家族を取り巻く全ての関係者が、横一線に並んで、希望に向かって歩めるような会にしたいと考えました。

患者家族から質問状が届くたびに、ひとつひとつの質問の重さをひとりひとりの患者様の命の重さのように感じ、先生方の適切なアドバイスを受け取るたびに、その回答の重さを感じました。
そしてこの質疑応答の貴重な場を、どうやったら当日160名もの参加者の方々と共有できるか、考えました。

個人情報が詰まった質問状を前に、実行委員会で何度も話し合いが行われ、最終的にファシリテータの小坂先生を交えてのミーティングで、みどりの会が普段の活動で行っている、患者様の質問とその質問に対する先生方の回答を、事前に皆様に配布するやり方を採用させてもらいました。

ミトコンドリア病がとても複雑な病であるからこそ、みなさんのお一人お一人の質問に光があたり、同時に同じ様に悩まれる人たちにも光が届くように、そして未来の研究も深まっていきますようにとの思いがありました
全参加者へ配布するための資料作り、個人情報をある程度公開していただくことになる質問者のご説明とお願いなど、煩瑣な仕事ではありましたが大変勉強になりました。

そのことが良かったかどうかはわかりませんが、質問と回答を把握してからの開催ができたことで、当日のzoom会では、更に詳しく踏み込んだ質問へと繋がり、活発で充実した会となったのではないかと思います。

今回のブログでの報告も、更に踏み込んだ内容にしようかとスタッフと話し合いましたが、この場は、zoom会で持ち上がった項目をはっきり打ち出すことに専念することにいたしました。

大切なお話だと思いましたので、前置きが長くなりました。

以下、はるみさんがまとめてくれたレポートです。いつもながら感謝。

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アミノレブリン酸(5-ALA)やMA-5の治験の進捗状況や、ピルビン酸ナトリウムの今後について、また、アルギニンの粉剤及び静注点滴の効果・保険適用の実現化についてなど、多くの方々からご質問が寄せられました。

コロナ感染症については、ワクチンの接種の良否、ミトコンドリア病の方は重症化しやすいのか、また、5-ALAが新型コロナウィルスへ効果があるのか等、コロナ禍ならではの質疑がありました。
MCM会員を対象としたワクチンの副反応に関してのアンケート結果も、接種を悩まれている方の参考になったのではないかと思います。

遺伝子検査については、原因遺伝子が判明していない方からのご相談や、近親者の遺伝子検査を行うべきか、また遺伝カウンセリングについてのご質問ご相談もあり、先生方からのアドバイスを沢山いただくことができました。

てんかん薬についてのご相談も多く寄せられ、質問者の症状に合わせて、様々なてんかん薬の提案を各先生方からしていただきました。
薬剤のメリット・デメリットや、使用方法などの説明もあり、患者側がそれぞれの主治医の先生へ相談できる道筋になったのではないかと思います。

ケトン食療法、アトキンス食療法等の、脂質優先食のお話もありました。

とても多くの症例があり、同じ病でも抱える問題は様々ですが、個人個人の相談に対し、とても細かく丁寧に説明して下さり、実りのある時間になったと感じております。

当日は、ここへ書ききれないほどの沢山のお話が上がり、先生方からの回答をいただきました。一部ですが、参考までに話題に上った項目を記載致しします。

・薬剤によりミトコンドリア病を誘発することがあるか
・遺伝子検査にはどのような種類があるのか
・小児のアルギニン服用の効果
・筋力維持のためのリハビリについて
・変異型ミトコンドリアの割合(ヘテロプラスミー)について
・全身的なエネルギーと栄養状態について
・ミトコンドリア病の確定診断に至るまでの検査について
・iPS細胞を用いた治療法について
・幹細胞を使った治療法の未来
・Muse細胞による再生医療について
・SB623(サンバイオ)について
・MERASの自然歴
・5-ALAのサプリメントでの摂取量
・薬剤のミトコンドリアへの影響
・ミオクロニー発作に対しての薬剤
・失われた脳神経系の改善の見込み
・OGTT経口糖負荷試験について
・精神症状についての対策
・ビタミンB1の内服量について
・低気圧と体調の関係
・低血糖コントロール

 

 

みどりの会では、今回掘り起こされた疑問を、さらなるzoom患者家族の交流会、zoom専門医を呼んでの勉強会などを行って、少しでも前に進んでいきたいと思っております。

 

どうぞよろしくおねがいします。

 

 

 

オールジャパンミトコンドリア病患者家族会 終了報告 トピック

 オールジャパンミトコンドリア病患者家族会

盛会裏に終了できましたこと、心よりお礼申し上げます。

実行委員会一人ひとり今回の会への思いも深く、会での糧も多く、

日々の暮らしに生かされることにも感謝致しております。

みどりの会ではこれからの活動のためにも、様々な方面から頂いたお知恵を拝借して

今後もミトコンドリア病を囲む輪を大事に活動してゆきたいとおもっております。

残務整理におわれる日々はもうしばらく続きますが、みどりの会スタッフに助けられてここまでこれましたこと、感謝の意を込めて。

チームみどり:広報ほか事務*はるみ、まきこ、わか、きえ、かよこ、ゆりこ(チラシ製作)  zoom他技術スタッフ*yama

 

 

※トピックまとめは、わかさんとの共同作業です。

 

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ファシリテータ村山先生

チャットやQ&Aと並走しながらのファシリテーションは、知識を織り交ぜながら、なめらかで他の先生との呼吸もピッタリ。時間もお見事ぴったりでした。

 

?小坂仁先生

「治験準備中のLeigh脳症の治療薬(アポモルフィン)について」

アポモルフィンの治験前の薬効、安全性等研究を3か年計画で行っています。

パーキンソン病では投与了承済みの薬である。

Leigh脳症やmelasの患者の皮膚繊維芽細胞は酸化ストレスに侵されやすいが、アポモルフィンを加えるとATPが上がり、ミトコンドリアの状態が良くなる。

  今から4年目、5年目位の治験実施を考えており、リー脳症患者から行う予定。(melasにも効果があると考えられる)

?大竹 明  先生

「ミトコンドリア病の治療:世界の最新治験情報を中心に」

 

○日常の生活について(患者、患者家族に覚えておいて欲しいこと)

①適切なエネルギー源、水分、電解質の摂取

②糖質制限と脂質優先摂取

③消費エネルギーの抑制、発熱、けいれんの処置

④Lカルニチン

⑤ビタミンカクテル

⑥ミトコンドリア毒を避ける

(バルプロ酸、ビボキシル基含有抗生剤 テトラサイクリン

クロラムフェニコールなど)

 

なぜ脂質優先が良いのか

1)ミトコンドリア病は細胞質のNADH上昇が諸悪の根源

2)グルコースは細胞質のNADHを増やす

3)脂肪(酸)は、ミトコンドリアのNADHを増やす→安全

 

○治験について

ミトコンドリア病は希少疾患でありながら症状や検査所見も多彩で、根本治療法の開発がとても難しい分野である。

今回は①~③についての最新の進歩を紹介しつつ、それらを応用した世界と日本の最新治験情報を紹介したい。

<国際治験情報>

海外では、酸化還元を治すもの、細胞膜の安定化をするもの、遺伝子治療等多種多様な治験が行われている。 しかし、最終段階までいったのはレーベル病に対するイデベノンのみである。(EPI743が今のところ有望か?)

その理由として以下の3点が挙げられる。

ミトコンドリア病の新規治療法開発の壁として

①病気の自然歴データの不足 (国際レジストリが必要)

 

②病状を反映する良いバイオマーカーの不在

③病状評価のための良い評価スケールの不在

 

<日本国内の治験情報>

アポモルフィン= 臨床治験前

MAー5=  臨床治験前(基礎段階であるが有望)

EPIー743= メラス・リー脳症  ?

5ーALA= 治験第3相 

5-ALAについては、残念ながら、今の段階で実薬グループとプラセボグループからの有意差認められず、正式な承認までにはまだ時間がかかりそうである。

?後藤雄一先生

『ミトコンドリア病ハンドブック(第2版)』発行について

内容:2012年5月に初版を発行して、冊子体の配布とともに難病情報センターのミトコンドリア病のサイトにてダウンロード版を提供してきた。

第2版では、内容を刷新し、診断基準、栄養法や治療法、遺伝学的用語、福祉制度、患者レジストリーなどの情報を変更・追記した。その内容を簡単に紹介する。

冊子でも、ネットでも見られるようにしていく。

 

治療法の変化もあり、イラスト付きでだれでも見やすい入門的ハンドブック作成中。第2版も、冊子、ダウンロード版を提供する。

 

 

  • 治療法の変化、進歩
  • 代表的な医療費助成制度
  • 遺伝学的用語の改訂
  • 新規突然変異の解説追加

 

(すべてが母系遺伝ではなく、突然変異も多く見つかってきたことも記載。少なくとも、出生時200人に対して一人は、ミトコンドリアDNA変異を持っている。変化が起こる確率は10万人に107人。)

 

  • ゲノム時代の難病医療体制

 

(最新治療ゲノムなどの研究も進む昨今、レジストリー(情報提供)が大切。)

?田中雅嗣先生

「ピルビン酸ナトリウムについて」

リー脳症では大脳基底核や呼吸中枢の神経細胞は常に活動しているので、ミトコンドリア病ではエネルギー不足になりやすい。神経細胞の障害が進行する前に、早く、ピルビン酸ナトリウムを入れることが大事である。

 

○ピルビン酸が不足すると、エネルギーの危機に陥る。

○細胞内のNAD⁺の欠乏と、NADHの過剰解消。

○易疲労を解消。

 

*治験は終了した。症例が少なく、十分なエビデンスができていない。

*QOLを指標にする評価方法があればよいが。

 (QOLを指標にする評価方法で再度治験を行う必要があるが、国の予算が途絶えているので、製薬会社の協力や更に資金を得ることが今後必要になる)

*乳酸とピルビン酸二つの組み合わせは重要と考えている。

*アメリカの教授が、血中にできた乳酸をピルビン酸に変えてまたそれを体内に戻す人工酵素を作っている。乳酸が高いことはよくなく、ピルビン酸を供給することはよいことだということを理解し基礎研究を行っていると思う。

?三牧正和先生

「ミトコンドリア病のレジストリ(患者さんの登録制度)のご紹介」

 

○新しい治療法が開発され、臨床試験、治験が始まったとき、患者にその情報を届けることをスムーズにすること。

○対象となる患者を速やかに把握すること。

レジストリシステム患者登録システム)とは双方の流れをスムーズにするためのシステムである

 

J-MOバンク→新生児・小児期発症

Remudy(レメディ)システム→メラス・マーフ・CPEO

システム登録には基本的には遺伝子が確定しているミトコンドリア病(MELAS,MERRF,CPEO)の方が登録できる。Remedyのサイトでダウンロードできる医師同意書等の書類を主治医に記載してもらい、登録センターに送付する。

(遺伝子が確定していないが臨床的に明らかにその病気であると診断されている場合は要問い合わせ)

 

*レジストリーシステム(患者登録システム)の大きな目的は、しっかりとした登録システムを構築して治験に備えること、患者の実態を把握してQOLの向上に努めることである。

?木下(きした)善仁先生

「ミトコンドリアゲノムをターゲットにした治療法開発の現状」

 近畿大学理工学部生命科学科講師で、今は大学院総合理工学研究科理学専攻遺伝カウンセラー養成課程の担当

 

○遺伝子治療

変異が起きたミトコンドリアDNAに正常な遺伝子を入れ、機能を回復させるもの。

○ゲノム編集

変異したミトコンドリアDNAを切断し他物を正常な遺伝子に書き換えるもの

遺伝子治療、ゲノム編集が一緒に使われる行われることもある。

 

現在実際行われているものは、レーベル遺伝性視神経症で、アデノ随伴ウイルスを注射で注入し遺伝子を戻すと、視力回復が見られる。

 

ゲノム編集に関しては、ヒト細胞やマウス個体レベルでの検証であり、ヒトへの応用はまだこれからである。しかし、化合物を使ってミトコンドリアの変異DNAを減らすという研究なども出てきており、この先端治療は実用化まで時間はかかるが、期待してよい治療法である。

?長瀬逸郎様 アステラス製薬

ミトコンドリア・バイオロジーに関連した研究開発を意欲的に進めており、ミトコンドリア病もそのターゲットである。

最近では、Minovia社とのミトコンドリア細胞医療に関する戦略的提携契約を締結した。

◎科学と技術を融合した新しい治療法の開発アプローチ

○ミトコンドリアのストレスに効くもの

○NAD増強

○遺伝子調整 ミトコンドリアの量を増やす

○ミトコンドリアのたんぱく質を調整する

 

方法

ミトコンドリア細胞医療

生きたままのミトコンドリアをドナーから取り出し、アステラスで研究開発したユニバーサル??ドナー細胞技術で免疫反応を回避しながら、障害を受けた組織に正常なミトコンドリアが輸送されるという生理現象を用いて正常なミトコンドリアを体細胞に移植する、という技術に挑戦したい。

現在アメリカで臨床試験を行っている研究が日本でも取り入れられるようにしていきたい。

?村山圭先生

「オールジャパンでのミトコンドリア病の診療基盤構築 ~力をひとつに~」

診断→治療→生活向上

AMED(エーメド)の診察基盤を作り、病態解明、創薬につなげるための臨床試験をしっかり行う。

 

ミトコンドリア病診療マニュアル 2022年版制作中!

・Leigh脳症の遺伝子型と予後

・ミトコンドリア肝症の臨床像・遺伝学的特徴 など

 

2014年に結成した村山班は、多様なミトコンドリア病の遺伝子型/表現型/自然歴などをガイドラインに反映させ、エビデンスを創出。

 

自治医大では、ミトコンドリア病でもIPS治療研究がすすめられている

 

データベース、レジストリをもとに、国内・海外連携を取りながら、ミトコンドリア病の診断、解明治療のネットワークを作っていく。

 

オールジャパン 力を一つに!

決して一人じゃないということです。

?フレーザー佳奈さん

1.Awareness WeekということでInternational Mito Patientの活動

2.Mito Foundationとしてオーストラリアの現状、患者さんの活動(メディアや政治家への働きかけなど)や交流(オンライン勉強会など)

Mito Foundation (オーストラリア) マーケティング・コミュニケーション担当

 

Mito Foundation(マイトファンデーション)

専従職員20名が在籍。ほかボランティア多数

設立11年目

勤務スタッフが20名程度、プラス多くのボランティアで活動中

 

  • サポート  患者、家族への情報提供

 

政府から援助を受けて看護師の資格のあるスタッフが個々の患者に必要な政府の制度や臨床試験を案内

勉強会、オンライン交流会などを提供

 

 

  • 代弁活動 すべての患者が必要なケアやサービスを受けられるように政府に働きかける。

 

現在、法律の改正(親からのDNAの異変が遺伝しないような特別な体外受精の認可)を求めている。スタッフ、患者(家族)が地域の政治家に働きかけたりSNSで活発に発信したりしている。

 

  •  研究 治療に向けた研究開発への資金提供

 

    Leigh脳症国際団体の立ち上げ 等

 

  •  寄付金 チャリティーイベントの開催(2019年には延べ1万8千人程が参加し3億円以上の寄付金が集まった)

 

 季節ごとのキャンペーン、コロナ禍ではバーチャルイベントなども開催している。

 

 

  •  教育 医師向け、子ども向けプログラム、一般の学校で使えるような教材の提供

 

 

IMP(International Mito Patients)

 設立10周年の国際的な団体

国境を越えて患者のサポートや資金集め、啓蒙活動を共に行う。

アメリカ、カナダ、ドイツ、スペインなど16団体が参加。

情報提供、それぞれの国内での認知度を高める活動をしたり

医師、研究者、製薬業界との関係を調整したりしている。

また、世界中どこの患者でもサポートを受けられるようにメール等での相談を受け付け、その国で受けられるサービスを探す手伝いをしている。

 

 

 

 

ミトコンドリア病の世界組織IMPの呼びかけにより、ミトコンドリア病啓発週間が9月19日(日)から25日(土)まで、世界各地で行われます。

日本では9月25日、横浜市開港記念会館の緑のライトアップが執り行われることになりました。MCM世話人山田さんの、横浜市への働きかけ→報告は後ほど。

 

 

 

オールジャパンミトコンドリア病患者家族会について

2021年9月20日

オールジャパンミトコンドリア病患者家族会、盛況裏に終了することができ、ほっと肩をなでおろしております。

 

 

参加してくださった皆様に心から感謝いたします。

 

 

 

 

 

ZOOM参加数約150名。出入り自由にしておりましたので、家事や患者のケアをしながら、聞きたいところ、見たいところを自由に見ていただけたと思います。反面集中もできないところでアーカイブ要求の声もたくさんありましたが、本当にごめんなさい!今回は配信は許してください。実はみどりの会でのZOOM整理はまだ続いていて、報告も書き上げられない状態です。今週末までかかると思われますが、スタッフに助けてもらって報告も順にアップしていく所存ですので、いましばらくお待ち下さい。

オールジャパンミトコンドリア病患者会 ライトアップ!

ーライトアップ情報ー

 

 

いよいよ間近!

オールジャパン患者会を目前に、実行委員会のZOOM会議も頻繁に行われ、緊張感が増してきました!

本日はMCM世話人山田源太郎さんにライトアップ情報の詳細をお聞きし、世界をつなげるミトコンドリア病周知理解の希望の道が、日本にもつながると思うと、とても温かい気持ちになりました。

 

山田さんからお知らせ

9月25日午後6時点灯です。

6時30分頃、ライトアップされた横浜市開港記念会館の前で、ミトコンドリア病患者家族及び関係者で記念撮影を行おうと思います。

この写真がIMPのホームページに載せられるように送られるそうです。

コロナ禍の最中ですので、無理せず集合、無理なく歓談、気軽に解散したいと思います。

 

追伸;みどりの会ZOOMスタッフYAMA参加予定。

 

 

 

 

横浜市開港記念会館へのアクセス

https://www.city.yokohama.lg.jp/naka/madoguchi-shisetsu/riyoshisetsu/kaikokinenkaikan/acces.html

 

 

 

 

 

 

オールジャパンミトコンドリア病患者家族会に向けて ライトアップ情報

Light Up for Mitoは、International Mito Patients(IMP) が主催するグローバルキャンペーン で、ミトコンドリア病(mito)の意識を高めるためにランドマークを緑色で照らします。

 

リンク先を開くといろんなみどりにライトアップされたランドマークや子どもたちの様子が見えます!!

Light Up for Mito

希望の灯の様子は、喜びとともに畏敬の念に駆られます。

今年の2021年のミトコンドリア病啓発ライトアップは9月25日土曜日になります。 

 

海外で行われているミトコンドリア病啓発運動に、日本も加わります!!

横浜の開港記念会館を緑色にライトアップする交渉を、ミトコンドリア病当事者であるmcmの世話人山田源太郎さんが取り組み、横浜市からライトアップの件の正式承認がおりました。日程は24~27日の18:00~20:00となるで、月曜日もライトアップがされるようです。
今回のライトアップは、オールジャパンミトコンドリア病患者会への、エールにもなります。世界の取り組みに、日本も入り、チカラを一つに!という希望の灯となるのですね。嬉しいことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年9月に、我が家でも、緑の灯籠を作りました。

ちょうど、古賀先生から「IMPはミトコンドリア病がはじめて診断されてから
55周年になるのを記念して、世界各地で55のランドマーク
(史跡や記念碑的建造物)をミトコンドリアの色、緑に
ライトアップするプロジェクトを進めています。」というお知らせを頂いたのです。

 

龍の灯篭
作業風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みどりの灯火

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みなで持ち寄った瓶にマッキーペンや、ゼラを貼って描いた絵は、祈りが込められました。

ミトコンドリア病を広く知っていただきたい・・・

どんな病気もたいへんであると思います。
いのちはいろんな要求があり、全部受け止めようとすると
とてもたいへんなことになります。
ミトコンドリアという原初生命体の異常は、とにかくいろんなところで
いろんな風に異常が起きてしまうので
受け止めるほうは、一日一日めまぐるしく変わるミトコンドリアに向き合ったりするわけです。

免疫力の無さ
神経・精神のつながりの不安定さ
多臓器への影響
不確かな伝達系統

そして介護する家族の精神ケア

ひとりじゃないんだって思うことの心強さ
本人も患者家族も、いろんな生き方があって
いろんないのちがあるという暖かな気持ちと祈りをー

今回のオールジャパンミトコンドリア病患者会に向けて!

オールジャパンミトコンドリア病患者会に向けて5

 

 

ミトコンドリア病専門医によるトピックの他に

以下の3点つのトピックが加わります。

 

?アステラス製薬会社 長瀬 逸郎氏 東山浩之氏

「アステラス製薬会社の取り組みについて」

アステラス製薬ではミトコンドリア・バイオロジーに関連した研究開発を意欲的に進めており、ミトコンドリア病もそのターゲットです。
最近では、Minovia社とのミトコンドリア細胞医療に関する戦略的提携契約を締結いたしました。
【R&Dミーティング資料】
https://sw4503.swcms.net/ja/ir-library/ir-meetings/inframe/main/016/teaserItems1/07/linkList/0/link/RDmeeting2020_pre_jp.pdf
(上記資料の42~48ページを参照ください)
【Minovia社との戦略提携に関するプレスリリース】
https://www.astellas.com/jp/ja/news/17096

また、下のようなサイトでもアステラス製薬の取り組みを案内しています。
https://www.astellas.com/jp/ja/stories/science/mitobridge
https://www.astellas.com/jp/ja/partnering/primary-focus#Mitochondria-Biology

 

?木下(きした)善仁先生

「ミトコンドリアゲノムをターゲットにした治療法開発の現状」

 近畿大学理工学部生命科学科講師で、今は大学院総合理工学研究科理学専攻遺伝カウンセラー養成課程の担当

 

?フレーザー佳奈さん

1.Awareness WeekということでInternational Mito Patientの活動
2.Mito Foundationとしてオーストラリアの現状、患者さんの活動(メディアや政治家への働きかけなど)や交流(オンライン勉強会など)
Mitp Foundation (オーストラリア) マーケティング・コミュニケーション担当