龍の今後について ケアカンファレンス

PHOT byヒグチ

11月16日

メラスの次男龍についてのケアカンファレンスが行われました。

龍が最近暴力的になっていることもあり、重度身体介護の必要性もあるということで、生活の見守りでどれくらい必要なことがあるか、市の制度とのすり合わせの必要もあり、相談員の山田さんが多方面の方に声をかけ、ケアカンファレンスを行うことになりました。

2021年の再発から2度めのケアカンファレンスで、

市役所福祉科、保健所、生活介護もえぎ、生活介護+グループホームみのりの家

福祉サービスみちびき、相談員

7名の方が集まってくださり、家庭での希望を伝え、医療サイドのつながりを確認しながら、福祉面から、生活面から、どんな事が必要であるか、それに当たって制度を使って、龍に対してどのような介護が可能か意見交換してもらいました。

我が家には高齢の介護もあり、母親の仕事やライフワークなどとの折り合いもいればがら話が進んでいきます。

そして一番の目標が27歳の龍が龍の居場所を家庭とは別に持つという、グループホームの入所についてです。

みのりの家でのショートステイがこの一年でゆっくり行われ、他のミトコンドリア病の方の介護もあった御縁で、龍のお部屋が1室設けられることになりました。

一年間色々ありましたが、1週間に金曜日だけお泊りを体験し、入浴、食事、就寝と繰り返されたことで、龍の中にも、自分だけのお部屋が現実のものとしてあるというよろこびを感じています。先日ショートの風呂上がりに熱を出し、迎えに行きましたが、受けいれてもらえている安心した本人の様子を確認しながら、自宅に連れてきました。熱を出して心配するグループホームの仲間たち、そして介護する数名の介護者。とても暖かいやり取りがなされていました。本人にとっても、家もあり、グループホームもあり、という行き来が自然に受け入れているということを実感しました。

朝の目覚めはとても大事です。起きてからリラックスできるバルコニーでくつろぎ、好きなお肉の匂いが漂い、食に繋がる余裕ある介護。時として興奮冷めやらぬとき、寄り添って受け入れてもらえる安心感。今後もきっといろんなことがあるに違いありませんが、、。

 

今はグループホームお試し期間ですが、来年から週3日から始まるグループホームに向けて生活の見直しを図っている次第です。

 

今必要な介護を少しずつ地盤を固めていくことで、生活の道がつながることに期待しています。

感謝。

つくばミトコンドリア学会懇親会参加報告

 

2023年11月14日

三牧先生からお誘いがあり、つくばミトコンドリア学会プログラム|第22回日本ミトコンドリア学会年会 (jmit2023.com)

懇親会に参加してまいりました。

 

簡単なご報告遅くなりましたがさせていただきます。

 

POLG症候群の患者会https://polgfoundation.org/

代表のジュリーさんとお話しました。

私は英語が話せませんので、あらかじめ用意しておいた挨拶文(にゃんこさんの英訳付き)、と、イラストを渡しました。挨拶文を読んでいるジュリーさんは、龍とジュリーさんの息子さんがほとんど似た状態であるとわかると、目がうるんできました。私達は見つめ合い、お互いの心で励まし合いました。

それから先は、薬学博士の有澤先生が、通訳に入ってくれました。私はイラストを作品にしてミトコンドリア病の周知啓発を行っているように、ジュリーさんは素敵な素材でジュリーさんの息子さんがデザインしたPOLGという文字を入れた素敵な帽子を頒布してミトコンドリア病の周知啓発運動をしていました。
そして参加していたMCMの山田さんも見つけ出して、一緒に患者会としての意見交換もできました。山田さん英語が堪能でした。今後、海を超えた患者会同士の有効な交流が深まっていけることを望んでいます。

 

順天堂大学の岡崎先生のお話では、ミトコンドリア病の遺伝学的検査が2022年に保険収載され、順天堂大学で保険診療という形遺伝学的検査ができるようになるということです。

尊敬する古賀先生についての話もでました。私は、今なお慢性期に入り、視覚・聴覚障害が起きて大変苦労している方が、彼にとって有効なアルギニン点滴が可能にならないことを相談したいと思って今回の学会懇親会にも参加しました。そして数名の先生たちにお伝えし、再度時期を見て、先生たちに相談のメールを書こうと思っています。今回の挨拶文にアルギニンのことも入れようと思って、考えあぐね、やめましたが、いれたら、波紋は広がったかなと、思ったりしました。

 

●大竹先生が、北先生を紹介してくださり、いろんな相談に乗ってもらえるようにしてくださいました。9月くらいか?着床前診断のための患者会のコメントを大変よろこんでくださっていて、埼玉医大で行っているミトコンドリア病のかたの妊娠が続行しているという嬉しいニュースもいただきました。
明日くらいに、遺伝子検査の保険適応のニュースが流れるようです。

自治医大の小坂先生のアポモルフィンの研究を実際に行っている大学院の紹介もありました。
大竹先生からは、ミトコンドリア病の着床前診断のお話もありました。そして生化学研究の薬学博士 北 潔先生を紹介していただきました。

 

秦野から3時間かけてでかけ、しかも、ついた駅からバスを乗り間違え、駆け巡る大変な一日ででしたが、たくさんの専門医との交流を、今後のミトコンドリア病の皆さんとのつながりに活かしていけたらという思いでおります。

 

最後に拙い挨拶文ですが、付記しておきます。

2023年つくばミトコンドリア学会懇親会の手紙

遺伝カウンセラー加藤由里子のちょこっと遺伝の勉強会  報告

 

すっかり報告が遅れ申し訳ありません。

10月21日加藤由里子さんから、「ちょこっと遺伝の勉強会」と題したお話を聞きました。
遺伝カウンセラーとして、今ある情報を誠実にお伝えしてくださったことに、一患者家族として感謝する次第です。

アンケートも回収し、「ほとんどの方がとても勉強になった」という回答でした。
次回も期待されている方がほとんどでした。
細かく分析された、素晴らしいパワーポイントの講義でした。

 

以下は今回の勉強会の目次です。
・遺伝と遺伝子は違うことを学ぼう
・遺伝子、染色体、DNA、ゲノムのことばを整理しよう
・遺伝カウンセリングは何なのか、知ってみよう
・遺伝子検査について

なお、お話の中で、「遺伝子検査の数値、ヘテロプラスミーの変異率は、一生あまり変わらない」というお話がありました。

自分は、病状が悪くなっていくほど変異率も大きくなっていくと思っていましたが、出生時・発症時・検査時・そして将来も変異率は同じだとすると、病状を悪化させないための努力というものは、変異率の数値の変化には反映されないのだな」と、すこし残念な気持ちになってしまいました。

遺伝子検査をして変異が見つかっても、確固たる治療法がない現状では、検査には意味はないというような風潮にもなりかねはしないかと危惧しました。

それに対する由里子さんからの返答です。
「殆んど変わらないとお伝えしたことは、訂正させていただきます。
結論的から言うと『(今はまだ)分からない』ということになります。

変化しているミトコンドリアは、組織(血液、筋肉、脳など)ごと、更に、細胞ごとにも異なっているという特徴があります。
筋生検での変異率が90%というのは、その細胞で90%ということであって、筋肉細胞の他の細胞では80%かもしれないし、70%かもしれないということになります。

一人の方の一つの細胞の変化をみた研究はこれまで無いので、どこまで変異率が増えるのかは分からないのですが、変化のある(変異のある)ミトコンドリアの方が増える傾向にあるようです。」
という回答でした。

 

遺伝子の世界はまだまだ未開の地であること、そして病の原因究明の糸口であるということを、改めて認識させていただきました。

遺伝の研究はこれから進化してゆくべきであると思います。
そこにはいのちへの愛があることを信じて。

 

みどりの会茶話会 合同ミーティングについて

 

柏市あけぼの山公園のコスモス       phot : Mr. higuti

私達が生きていく上で必要なエネルギーは、細胞の中のミトコンドリアで作られています。ミトコンドリア病は、ミトコンドリアの働きが低下する病気で、症状が様々な臓器に及ぶため、実態がつかみにくい難病です。

体のしんどさと精神的なしんどさとが、複雑に絡みあっている病気です。

ミトコンドリア病だからこその生活の悩みもあり、医療や福祉の悩みもあります。

当会では、以下の3つの茶話会を開催しています。

⚫ミトコンドリア病の当事者の茶話会

🔴成人で発症した方々の患者家族の茶話会

🔵小児発症した方々の患者家族の茶話会

 

患者同士の、小さな悩みのお喋りの場をLINEやzoomで作ってから、1年以上が経ちました。

この夏、1回目のみどりの会茶話会合同ミーティングを行いました。
普段の茶話会メンバーに加え、問い合わせがあった有志の方々にも入っていただきました。
皆さんの悩みは深くて、2時間という短い時間では語り尽くせないことも多く、ほとんど自己紹介だけで終わってしまいました。

2回目のみどりの会茶話会合同ミーティングは、一回目の自己紹介を踏まえ、みなさんの悩みとアドバイスのキャッチボールを行いました。
専門医のいない患者家族だけでのフリートークは、なかなか深いものを感じさせました。

3回目は更に掘り下げた、悩みとアドバイスの交換の場として、12月18日を計画しています。
平日なので、参加が難しい方もおられるかもしれませんので、追って1月8日あたりもどうかなと思っています。

一人で悩むのでなく、患者家族の絆を強くしてゆくことが、生活する上で、勇気に変わってゆくよう願っています。

「LINE茶話会」あるいはzoomによる「茶話会合同ミーティング」に参加してみたい方、どなた様もお気軽にご連絡ください。(どちらかだけの参加も歓迎します)

連絡先 2022midorinokai@gmail.com 伊藤千恵子

 

 

 

 

 

 

ちょこっと遺伝の研究会 告知Ⅱ

 

遺伝子とは? DNAとは? 染色体とは? 遺伝とは…?

遺伝カウンセラーの由里子さんの温かいお人柄が溢れる遺伝の勉強会に参加して皆さんでふれあいませんか?

お話のあとに、質問や自由トークのお茶タイムも作りたいです。

今回はミトコンドリア病だけでなく難病の方、興味のある方にも広く公開いたしますので、ぜひ参加ください!
申込みはチラシに記載してあるのでそちらの参照ください。

2021年11月に一回目の由里子さんの遺伝についての茶話会を行いました。

その時、由里子さんのお話を聞いて、実は遺伝の話は病態解析にとても大切なことで、患者と共に生き抜こうと思う自分にとって、とても重要な情報であるということを知りました。

 

由里子さんからの素敵なお写真とコメントを載せますね。

 

由里子さんからのコメント

この夏の思い出ですが、初めての保育園での夏祭りと家族で航空科学博物館に行っての飛行体験。改めて、家族の大切さを感じる夏になりました。遺伝子レベルでみると、わたしもあなたもお隣さんもそんなに変わらない。遺伝を学ぶことは、自分を知ること、家族を知ること、周りの人を知ることだと私は思っています。そして、ほんの少し、今よりも気配り、心配りができて、みんなに優しい社会になることを願っています。ちょこっと遺伝について学ぶ「学びの秋」になればと思っています。

 

❤小競り合いもありながら、いつも笑顔でいられる家族はいいな(フェイスブックから)

ミトコンドリア病患者会フォーラムについて

 

今年もミトコンドリア病患者・家族の会(MCMの会)のミトコンドリア病患者会フォーラムが行われます。

専門医の意見をたくさん聞けるチャンスですね。

一般にも広く公開なさっていますので、ご都合つく方は参加してみてください。

 

 

日 時 2023年9月24日(日)
13時半~16時半
Zoomにて開催(出入り自由)
・記録のため、録画させていただきます。講演部分のみ、後日配信の予定です。

当日のスケジュール

1.開会
2.各専門医による最新研究や治療薬、その他ミトコンドリア病の最新のトピックについてのお話
3.事前にお聞きした質問や当日の講演内容についての質問に対しての質疑応答
4.閉会

* 申し込み *
9月8日(金)までに、下記アドレスまで、メールにてお申し込みください。
※申し込み用アドレス mcmmitochon@gmail.com
申し込み時に

① 申込みの方のお名前(ふりがな)
② 住んでおられる都道府県名
③ 簡単な自己紹介
④ 当日連絡がつく電話番号
⑤ Zoom招待をお送りするメールアドレスをご記入ください。

*また、専門医の先生方に質問のある方は、申込後、質問フォームをお送りします。
フォームに記入し、9月3日(日)までにお送りください。

参加してくださる先生方(五十音順)

大竹明先生
埼玉医科大学特任教授
難病センター副センター長

小坂 仁先生
自治医科大学小児科学教授

梶 俊策先生
津山中央病院小児科主任部長

村山 圭先生
順天堂大学大学院医学研究科
難治性疾患診断・治療学/小児科教授

主催
ミトコンドリア病患者・家族の会(MCMの会)

田中雅嗣先生勉強会&交流会 報告

 

田中雅嗣先生勉強会&交流会
2023年7月29日
「ミトコンドリアと私」

報告が遅くなり申し訳ありません。

あまりにもたくさんの情報と知恵とユーモアを頂き、どうやったらまとめられるかと思案いたしておりました。
当日使用したパワーポイントは著作権の問題があり、ブログでの公開は避けたほうが良いということで、概略にはなってしまいますが、ここでまとめさせていただきます。

 

ミトコンドリア病研究フォーラムなどでの田中雅嗣先生の講演はいつも難しくて、理解のついていけない私は目がくるくるでしたが、今回の勉強会では、前もって「患者家族の悩ましい生活に根ざしたような研究からの洞察」ということでお話をお願いいたしました。

先生も「ミトコンドリアと私」というテーマで自由にお話しいただき、色んな角度からのお話でとてもわかり易く、先生の熱意が伝わる「命のレポート」のように感じました。

参加者からも「患者の症状の不可解なモヤモヤや迷いが、田中先生の講義で整理されて、これからの生活にもすごく支えになる思いです。」とコメントを頂きました。

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勉強会の内容をごくかいつまんで説明させていただきます

まずは、(先生の)ご両親の進行した喉頭癌や広範な脳梗塞に出会った経験から、 医学の限界を感じつつ、「如何に生きていくか」という思いを胸に基礎研究を始められたというお話から始まりました。

続いて

1️⃣体の中でどのような形でエネルギーが作られるのか・・

2️⃣乳酸アシドーシスから命の守るためにはどのようにしたらよいのか・・・

3️⃣ミトコンドリア病の治療について

4️⃣ミトコンドリア病では使用を避けるべき薬について

5️⃣ミトコンドリア病に良い生活

6️⃣今後の田中雅嗣先生研究の断片

7️⃣参加者皆様との質疑応答

 

以下、概略ではありますが、項目ごとにまとめてみます。

1️⃣体の中でどのような形でエネルギーが作られるのか・・

1)私達人間は、(エネルギーの元である)ATPを増やすためには、解糖系で作るか、ミトコンドリアで作るしかない。

瞬発力が必要なときは、解糖系を使ってATPを作る。
持続的なエネルギーは、ミトコンドリアで、酸素を使って長時間有効なエネルギーを作る。

2)我々人間の筋肉は白筋と赤筋とからなり、お互いにやりとりをする

白筋:ミトコンドリアはあまりいない。解糖系が主で、乳酸を作る → 瞬発力を司る
赤筋:ミトコンドリアがたくさんいる。ピルビン酸に変換して代謝 → ゆらゆらうごく → 長時間有効なエネルギーをつくる

 

2️⃣乳酸アシドーシスから命の守るためにはどのようにしたらよいのか・・・
何を与えたら乳酸アシドーシス状態から命を守ることができるか。乳酸ができるとどうなるのか。)

1)乳酸を中和してタンパク質が動けるようにする

2)酸素を取り入れながらゆっくり走る。そのときには(解糖系ではなく)ミトコンドリアが活躍するので乳酸が出来にくい。

3)体が酸性に傾くと正常の生活ができなくなる。意識障害などがおきてしまう。

4)ピルビン酸を入れることによりエネルギーが作られる(と考えられる)

5)乳酸はどのように使われるか。
人間の筋肉は白筋と赤筋が混じっている。
お互い近くにいて、白い筋肉が乳酸を作ると赤い筋肉に渡すというやり取りがある。


質問:
メラスの息子が、例えば、入浴後の疲れが出ているときなど、動けなくなり口がカクカクして涎が出ているようなときは、どのようなことが体に起きているのか・・・

答え:
脳がエネルギー不足に陥ると神経活動が低下する。即ち意識消失が起こっているのだと考えられる。

体の中の代謝を想像してみよう!
体の中では乳酸を作る細胞と代謝する細胞が別々に存在する。

●酸素を供給しつつ、深部熱を下げるなどして様子を見る。しばらくして落ち着けばよい。

脳の神経細胞とグリア細胞の物質代謝のアンバランスが痙攣を起こす。
痙攣やてんかんは抑えないとミトコンドリアには良くないので抑える薬を医師に処方してもらう。

●錯乱・意識障害・幻覚・せん妄などの様々な精神症状の発生時、神経興奮が起き、エネルギーがたくさん使われてしまう。
乳酸が作られ、ミトコンドリアは大忙しになるので、それを抑える本人の症状に見合った抗精神薬が必要である。


質問:
体内でエネルギーが作られる時、酸素はどのように使われるか?

答え:
ゆっくりした運動は赤筋が働いて、酸素を徐々に使う。
運動の強度を上げると白筋が働き、乳酸が出てくる。
血中乳酸濃度が急増する領域を「乳酸閾値」という。

熟練したマラソン選手は、乳酸がたまらないようにミトコンドリアをうまく使う(乳酸閾値を超えないギリギリの線で走る)
そうすると持久力がついてくる。

一般にミトコンドリアが元気に働くために早歩きが推奨されるが、ミトコンドリア病の患者では往々にして乳酸が増える。
(ミトコンドリアの活性が弱い人は、軽い運動でも乳酸が上昇する)

ミトコンドリアの機能が低下した人は歩くくらいでも乳酸が上がる
なので、
・感染症に注意する(高熱に弱いから)
・興奮しすぎないことが重要。
・そのひとに合わせた軽い運動をおこなう。(乳酸閾値を超えない範囲を見定める事が重要)

 

3️⃣ミトコンドリア病の治療について

●脳筋症の治療

1)脳の血管に酸素を送る血管が、一酸化窒素が足りないことによって平滑筋が収縮し、血管攣縮を起こしてしまう。これが「脳卒中様発作」である。

内皮のところで一酸化窒素を生み出すと、平滑筋が広がって酸素が取り入れられる。
アルギニン点滴はこれを狙った治療法である。

2)コハク酸ナトリウムを取るとミトコンドリアが元気になる
まだ仮説の段階であるが、細胞の中でエネルギーが足りなくなって「コハク酸」がいっぱいたまったときに、他の細胞に情報伝達をしていると言われている。
「白筋が少なくなって赤筋が増える。しかし変異したミトコンドリアが増えずに良いミトコンドリアが増えればいいなあ…ということ」(先生談)

3)ピルビン酸ナトリウムは、メラスなどでは複合体Ⅰの活性がなくなるので、ピルビン酸を入れることで元気になる。

 

4️⃣ミトコンドリアに避けたい薬品 (詳細については省略)

バルプロ酸

アミノグリコシド系抗生物質

【12S rRNA遺伝子に特異的な点変異(例:m.1555A>G)を有する人は投与を避ける】

ビグアナイド系糖尿病薬

ニューキノロン系抗菌薬

などの中にも避けたい薬があるようです。

 

5️⃣ミトコンドリア病に良い日常生活

過労を避ける

十分な休養と睡眠

バランス良い食生活

サプリメントの過剰摂取に気をつける

適度な有酸素運動

感染症など、発熱に気をつける

 

6️⃣今後の田中雅嗣先生研究の断片

田中雅嗣式独自の、尿への乳酸排出薬の開発を考えたり、コハク酸ナトリウムの効果についても今後も研究してゆきたいとのことです。先生の探求はバランスを持って続けられるものと信じています。

 

7️⃣参加者皆様との質疑応答

2部では患者家族の質問にお答えする形で、丁寧にご返答くださいました。

長野県立こども病院 神経小児科 本林光雄先生も参戦してくださり、その都度的確なご回答を賜り、大感謝。ありがとうございます。

最後に
田中雅嗣先生のお話をまとめさせていただき、今回の講義はミトコンドリアへの愛、そしてミトコンドリアを患う患者家族への愛に満ち溢れていたお話であったと再確信しました。

田中雅嗣先生へ感謝の気持をもって結びの言葉とします。

2023年8月14日
みどりの会代表 伊藤千恵子

小坂先生のお話 日本における遺伝子治療2023

 

 

小坂先生の遺伝子治療についてのお話が遺伝性疾患プラスに掲載されていましたのでご紹介いたします。

 

小坂 仁 先生

自治医科大学小児科学教授、自治医科大学とちぎ子ども医療センター長。博士(医学)。1987年に東北大学医学部を卒業後、カリフォルニア大学サンディエゴ校博士研究員、神奈川県立こども医療センター神経内科部長などを経て、2013年より現職。日本小児神経学会理事、日本小児神経学会関東地方会運営委員長、日本ミトコンドリア学会理事、日本小児科学会代議員、日本てんかん学会評議員、国際協力遺伝病遺伝子治療フォーラム評議員、神経代謝病研究会幹事、Brain and Development編集主幹。

 

遺伝子治療の開発状況について

それぞれの疾患に対して、いろいろな形で、国内外で、研究が進められていますが、全ての現状を調べて皆さんにお知らせするのには、膨大な時間がかかります。今回は、ご質問頂いた疾患のうち、私が現在把握している範囲で、国内外の治験/研究がそれぞれ実施されているものを、下記にお示しします。2023年5月に行われた米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)で確認した最新情報も含まれています。

海外で治験実施中…レット症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ムコ多糖症2型、網膜色素変性症、ファンコニ貧血

国内で研究実施中…MECP2重複症候群、低ホスファターゼ症

海外で研究実施中…脊髄小脳変性症、ミトコンドリア病、エーラス・ダンロス症候群、アンジェルマン症候群、線毛機

全記事のリンクを貼っておきます。
https://genetics.qlife.jp/features/gene-therapy-2023/Q-and-A

田中雅嗣先生の講義・交流会 告知

 

 

”良いおくすりを”と円空作薬師如来像に願掛けする田中雅嗣先生は粘り強い研究者です。
ミトコンドリアの基礎研究から各種疾患との関わり、創薬への真摯な思いをつなげる先生から、生きる力をいただきたい・・・。

 

ミトコンドリアは、生きるためにとてもたいせつないのちのつぶ。
ミトコンドリアとは一体どんなもの?

ミトコンドリアが神経変性疾患や悪性腫瘍、感染症、免疫疾患など様々な疾患.病態に関与していることが明らかになっています。

ミトコンドリア病患者家族に限らず、難病・障害で悩まれる方、医療・介護関係者、興味ある一般の方、現地参加もzoom参加もぜひ気軽にご参加ください。

今回の企画では、ミトコンドリア研究者田中雅嗣先生にミトコンドリアについて自由に講義していただき、ミトコンドリア病患者家族の皆様も、医療関係の皆様も、一般の興味ある皆さまも、「ミトコンドリアって一体何なのだろう」という原点に立って、自由に交流していただければと思っております。

 

 

 

さて、みどりの会では、茶話会をつうじて、ミトコンドリア病を患い、耐え難い様々な症状で押しつぶされそうになる日々を送っておられる方の悩みもたくさんうかがいます。私事ですが、次男のメラス発症から9年が経ち、様々な体調の変化、精神症状に苦しむ日々です。毎日の煩瑣な介護で広報にまで手が回りませんが、今回の勉強会の情報の拡散にご協力をいただけましたら幸いです。
締切の期日も7月7日まで伸ばしました。

どうぞよろしくお願いします

ミトコンドリアみどりの会 伊藤千恵子