「ミトコンドリア病研究フォーラム」での、みどりの会の画像とスピーチ原稿

ミトコンドリア研究の熱は高まり、先生たちの貴重なお話の中、みどりの会にお時間をいただき恐縮です。

みどりの会としては、「究極の今」を感じる患者家族の声を届けたいという思いの一念でした。

毎回のことなのですが、加藤由里子さんに助けられて作り上げたパワーポイントを、こちらに掲載させていただきます。

フォーラム当日にお話させていただいたスピーチ原稿も、全てではありませんが掲載させていただこうと思います。

 

 

 

 

重度訪問介護について

重度訪問介護は 重度障害をもった患者を 認定された介護士がケアする制度ですが、在宅だけでなく、病院や施設にも出向いてケアしていただける制度だということをご存知ですか?

患者会でこの重度訪問介護の制度の話が出たとき、家で慣れ親しんだヘルパーさんが、病院にも出向いてくれるなんて、とても良い制度だなと思っていました。話し合いを進めるうちに我が息子にも使うことができないものかと思い始めました。

我が息子は、再発後は、精神症状、認知症状、高次機能障害が悪化しました。
主治医との協議で 息子の入院時は、医療行為の妨げにならないように 高柵ベッドの使用を受け入れました。
高柵ベッドとはこのスライドの一番上の写真です。これについては検査入院のたびに心を痛めていました。

市役所福祉課に、病院への重度訪問介護の派遣の相談しました。

はじめは、「認知症や高次機能障害があったとしても、体が動く患者に重度訪問介護をあてがった前例はない」「そもそも病院にはケアするための看護士がいる」と言われました。

しかし、ここでひるんではいけないと思い、行政に何度も何度も本人の辛い状況をお伝えしたところ、去年5月から、重度訪問介護制度を病院内で使うことができるようになりました

当初、病院では、高柵ベッドに鍵をかけていたので、ストレスで叫ぶ息子に手を焼いておりました。しかし、その後、慣れたヘルパーさんが、病室でも家と同じように交流してくださり、息子もストレスが解消され、入院生活も滑らかに運ばれるようになりました。
ある日ヘルパーさんから高柵ベッドがはずされたと連絡が来ました。安堵感で涙が出ました。

本人も閉じ込められるストレスから一気に開放され、病院でのQOLが高くなり、食事ももりもり、笑顔がたくさん出るようになりました。退院のとき、たくさんの患者のケアに忙しい看護士も「高柵ベッドに胸を痛めていた(なので、高柵が外せてよかった)」と笑顔を返してくれました。

福祉とは、社会の中で最も弱い立場にある人と、社会を繋げていくことです。
医療現場でも、介護現場でも、患者の生活を支えること、患者の人生を受け入れることが、大切なことであると改めて思います。

重度訪問介護について詳細はブログに資料をのせていますのでこちらのQRコードを読み取ってください。また利用について、困ったときはご連絡ください。

 

アルギニンの周知啓発活動について
アルギニン投与の重要性については、このフォーラムでも毎回お話させていただいております。
とくに、メラス患者が脳梗塞様発作を起こしたとき、発作発生から時間を置かずにアルギニン治療を施せば、脳の病変がすこしでも改善される、という事実は、とても大きなことであると思います。

また、発作時でなくても、食事が取れないなど病状が悪化しているとき、アルギニンの静注点滴で、生活の質を上げられる可能性があるということも、知っておきたいところです。

アルギニンは、ミトコンドリア病以外にも、尿素サイクル異常症などの希少難病に使われるお薬です。
しかしながら、年に1回も使うかどうかわからない薬剤を購入し備蓄しておくことは、経営的にできないと言い放った地域基幹病院がありました。

私は一回目のフォーラムから、アルギニンの必要性を、自分の息子の体から学んだこととしてお伝えさせていただいております。

2022年、L-アルギニンは、厚生省保険局長の55年通知をもって、ミトコンドリア病に対する公知治療申請薬として、保険適用できるようになりました。

現在、日本全国の医療機関で、メラスに対するL-アルギニン治療ができるようになっています。
しかしながら、まだこの事実を把握していない病院がたくさんあります。

ミトコンドリアみどりの会では、患者が希望してもアルギニンの経口摂取や点滴の使用をしていただけないとき、主治医に理解していただくための資料を2つ用意しております。

一つは、専門医の書いたアルギニンの有効性を説いた資料。
もう一つは多くの医療関係者のご努力により成立した、社会保険診療報酬支払基金 第27次審査情報提供事例の377番と378番の資料です。これによって、L-アルギニンの内服薬と静注薬を、公知治療申請薬として保険適用できるようになりました。

以上2つの資料が必要な方はお送りしますので、みどりの会までご連絡ください。

古賀靖敏先生のアルギニン勉強会につきましては、状況がが整いましたら、行いたいと思います。よろしくお願いします。

 

今患者家族が困っていること
①ミトコンドリア病というだけで、地域の総合病院でさえみてくれないという事実があります。
希少難病の受け入れが困難な状況は、特に進行した成人発症の患者に多く聞かされます。
移行期センターを通じても小児期から成人期への病院探しでつまずいている話もお聞きしています。

②ミトコンドリア病は その病気の特質上 複数の病院にまたがって診療をしなくてはいけない時があるが 病院間で適切な医療情報の共有ができていないことが多くあります

③病院内には電子カルテがあり、他科との連携ができるはずなのに 肝心の医師同士、診療科同士の連携が不十分で、スムーズに治療が進まないことがあります。

ミトコンドリア病の精神症状に向き合える精神科医が少ないことに関してはたくさんの方から悩みが上がります。ミトコンドリア病の精神症状は、一人ひとり違い、刻々と変わっていきます。
その症状を見極めることは大変奥が深いことと思います。
茶話会でも、患者とどのようにどのように向き合えるのか、まだまだ話は尽きません。
まだ手探りですが 精神科医とのやり取りをブログにまとめました。必要な方はブログのQRコードを読み取ってお読みください。そして語り合いましょう。

 

生きるために大切な いのちのつぶ、ミトコンドリア。
食べ物もいのちのつぶ。語り合うこともいのちのつぶ。息をすることもいのちのつぶ。
聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚・・・感覚こそ生きるエネルギー。
生きることすべてが表現です。アートです。
亡くなられた方のいのちのつぶも、周りで舞っています
医療も介護もアートの中で育まれます。

 

 

みどりのライトアップ
IMPが提唱するミトコンドリア病啓発週間に合わせ、日本国内ランドマークをみどりにライトアップする活動を、MCMが行っています。
私もMCMの会員のひとりとして、地元の戸川公園「風の吊り橋」のライトアップの申請を行い、認可されました。
点灯後は、村山先生、田中先生、患者家族の皆様にもZOOMでライトアップを実況中継しました。最後に遠路はるばる参加くださった患者家族、行政の方、新聞を見て駆けつけてくれた市民の方 みんなで集合写真を撮ることができました。

 

頑張っておられる先生方や患者家族の皆様に是非見ていただきたい!と
みどりの会の有志が 生活の一コマを送ってくださいました。

スライドをみて、一生懸命に生きる患者たちの生活の様子をご覧ください。
一コマ一コマかけがえのないいのちのつぶ!!
力をいただきます!!

みどりの会のブログは患者家族・関係者皆様への発信用アンテナです。できるだけ必要な情報を流し、心が和むような場作りもしておりますのでどうぞご利用ください。
どんな些細なことでもお話したいこと、聞いてみたいことはいつでもお受けしますのでご連絡ください。

第8回オンライン茶話会(ZOOM使用)報告

インコ

13時から15時まで開催しました。
聞くだけでもOK!出入り自由!
祝日でご家庭の事情もある中、ご参加ありがとうございます。

茶話会で出たお話をすこしまとめてみました。

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①てんかんの話

てんかん発作は、人それぞれに違う故に悩みは多いのですが、本当に難しいお話です。

「寒さのためか、歩いていて突然膝がカクカクして危ないことがあった」など、悩ましい不随運動の話が出ました。
対応策として
てんかん薬の血中濃度を調べたり、脳波検査やMRIの画像検査などをして、てんかん薬の調整を主治医に相談する。

また、
「一度てんかん薬を一切やめて、必要な薬を少しずつ足していったら、悲しいことに全部必要な薬だったということがわかった。」
「強い薬に変えると、確かにてんかん発作をは止まったが、副作用で体からの分泌物が多くなり、その結果嚥下の状態が悪化し、食事が食べられなくなり、活気が落ちてしまった。」
「発作が起きているということは、元気な状態であるということがわかった(元気だから発作が起きる?)」という話もすごく頷ける話でした。


てんかんと痙攣の違いが今一つ明瞭でなく、薬の調整も、必要なのかどうか定かでないときがあります。
以前の話で恐縮ですが、田中雅嗣先生に痙攣とてんかんの違いは? とお聞きしたときに
「痙攣は発生源を問わず、手足体の筋肉に起こる付随的な収縮」
「てんかんは脳に起源を持ち、不随意な筋肉の収縮のほか、意識消失、音、光、匂いを感じる発作など様々な症状が出る。」
と、お答えいただきましたが、今ひとつ違いがわかりません。
いつもですが、勉強不足を感じてしまいます。

またコエンザイムQ10の薬剤が、医師により、処方されない場合があると、薬の話でも盛り上がりました。

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②グループホームでの生活
寝食を共にするということは、互いに気を使うこともあり、マイナスに見えることもあるが、続けていくと何かしらプラスに変えられることもある。患者の生活を長い目でみていかないと、わからないことも多い。
ただし、経営重視のグループホームには要注意。本人の意志を尊重する環境が大切。

③病院探しに苦労する。
県によっては難病の基幹病院が少ない地域がある。
小児科からの移行がうまくいかない。
精神科と脳神経科の連携もうまくいかなくて困るケースもある。

※先月の先天代謝異常症患者会フォーラムで、大阪府が難病医療の受け入れ病院を構築していくと言う講話があったそうです。
どこの地域でもミトコンドリア病の受け入れ病院が確立していけることを望みます。

次回は3月の後半を予定しています。

 

以上。

2月1日のフォーラムでは創薬のお話、栄養面のお話など、盛りだくさんでした。お聞きになった方はどのように思われたでしょうか。。。

 

またまた、間近のお知らせになってしまってすみません。

ミトコンドリア病患者家族のための茶話会ミーティングを、オンライン開催します。
2月11日(火曜日)13時から15時まで。(zoomを使用します)


茶話会ミーティングは、患者/家族の生の声を聞き合って、分かち合えることもあるのではないかと思い、始めました。

どんなことでも構わないので、ざっくばらんに話し合いしてみませんか?
今回は平日ですので、患者家族のみのミーティングとなります。(専門医はいません)

初めての方も歓迎いたします。
末尾に参加申込先を明記しておきますので、ご希望の方のご連絡お待ちしています。

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私達が生きていく上で必要なエネルギーのほとんどは、細胞の中のミトコンドリアで作られています。

ミトコンドリア病は、ミトコンドリアの働きが低下する病気で、症状が様々な臓器に及ぶため、診断治療の困難な病気です。
そして、ミトコンドリア病だからこその生活の悩みがあり、医療や福祉の悩みがあります。

ミトコンドリア病の方の社会を広げるために、私達は何ができるでしょうか。

就労に悩む方への公的支援はないものでしょうか?

移動支援は?
重度訪問介護制度は?
ヘルパーさんについては?

どんな悩みでも、一人で悩むのでなく、患者家族の絆を強くしてゆくことが、生活する上での勇気に繋がると思います。

「LINE茶話会」、あるいはzoomによる「茶話会合同ミーティング」
参加してみたい方、どなた様もお気軽にご連絡ください。(どれか一つだけの参加も歓迎します)

連絡先
2022midorinokai@gmail.com
伊藤千恵子

ミトコンドリア病の精神症状

phot by kagemika  「まいちゃん」

 

精神症状についてはたくさんの方から悩みが上がります。

その症状は一人についても変化しが著しく、症状の様子も一人ひとり違います。その時その時のミトコンドリアの状態に向き合っていくしかないのです。

精神科医の話ですが、私は月に一度探し当てた精神科医に通います。息子のグループホームの施設長も同行してくださいます。月毎の様子をまとめて相談しに行きます。精神科医は代謝の問題からもサポートしてくださいます。季節、環境の変化、血糖値や血圧の問題も絡む精神症状についての精神薬は、何ヶ月かかけて薬の調整をし、別の薬に変えるときも慎重に行います。家とグループホームで差をうまないように、一人の人間と向き合うことで薬も対応も変わってゆくという判断です。一般の精神病と違うところから先入観を捨てていただくことも大事なこともあるかと思います。
患者本人の生活を改善するために利用できる施設などの考察もこれから掘り下げていくべきと思っています。
100人いたら100人違う症状を患者会でもどのように向き合えるのか、まだまだ話は尽きません。

これからも患者会で、話し合っていきましょう。

アマガエル

生活の質 QOLを上げるために1

グループホームについて

どんなに病状が進行した患者も理解してもらえる社会が必要です。

息子の龍は、すこしずつ進行する本人の症状に合わせ、2020年に新たなデイケアセンターに通い始めました。あるがままの状態を受け入れてくれるデイです。みのりの家といい、こちらの勉強会にも施設長にお話していただいています。そこで信頼を結んだことで、そのデイケアセンターが経営するグループホームに去年4月から入居を開始しました。

ミトコンドリア病は、特に難しい代謝の問題も含めて医療ケアが大切になってきますので常にホームの事業所との信頼関係を築いていかなければいけません

グループホームでは家庭の匂いや風、音を大切に、居心地の良い場を提供してくださいます。日中介護施設 デイケアセンターに行って過ごすことも、ドライブや気分転換して過ごすことも可能ですが、失行のある龍を連れ出すには時間がかかり、興奮なく、安定して過ごすことから始めていくので、今はとりあえずグループホームのバルコニーに出たり、歌を聞いたり、すきな魚の動画を見たり、常に最低1人のスタッフが、時に離れて、時に近くで、会話しながら良い塩梅に見守ってくださっています。私としては、もう少し気分転換ができるといいしうこし動かせてくれるとグループホームでの便秘の改善されるなと思っていますが、慌てないでやっていくのが一番だと思います。

本人も家に帰ると「べつのおんなのところでしごとをしてきた」と話してくれます(笑。

病院にもホームのスタッフが同行し、ドクターとお話してくださいます。
息子のいつもと違う様子を動画で撮ってドクターに見せたり、医師のアドバイスを私とホームで共有したりしてくださいます。

 

自分の家でゆっくり過ごすことも療養になりますが、進行が進めば、介護者が疲ることは良くないことですので、その時のためにも、外の環境を整えておくのが大切だと思います。いろんなケースがありますので、また患者会でも話し合いを持って本人にとってどんな生活が良いか、、、話し合っていきたいです。

 

みのりの家ホームページ

https://www.behappy1989.com/

 

 

2020年からすこしずつ進行する本人に合ったデイに通い、そこでの信頼を結んだことでそのデイが経営するグループホームに去年4月から入居。
ミトコンドリア病は、特に難しい代謝の問題も含めて医療ケアが大切になってきますので、事業所との信頼を常に築いていかないといけません。
グループホームでは家庭の匂いや風、音を大切に居心地の良い場を提供してくださいます。常に最低1人のスタッフが時に離れて、時にそばで会話しながら良い塩梅で見守ってくださっています。本人も家にかえると「別の女のところで仕事をしてきた笑」と話してくれます。通院にも同行、ドクターとお話くださったり、アドバイスを共有、いつもと違う様子は動画でとって、ドクターに見せてくれます。どんなに病状が進行した患者にも理解してもらえる社会が必要です。