田中先生メッセージ2

田中先生が一線の研究者の研究に触れられて、

送ってくださいました資料を紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

横浜市立大学の佐藤彰洋教授の文章を転記します。
田中雅嗣

ウイルスと共存する長期戦略は存在しない
2020年3月29日版

文責:佐藤彰洋 (ahsato@yokohama-cu.ac.jp)

今回のCOVID-19の感染拡大は基本的に「疫病」と古来から呼ばれる現象です。この規模は100年間以上一度も発生してこなかったので、誰も、この現象を見たこともないし経験したこともない。しかし、これは、建物は破壊されることなく、人の生命だけが失われていくという大規模災害と理解すべきなのです。

そして、理論的には、「ウイルスを消滅させ終息させる」か、「全員がウイルスにかかり病気になる」かのどちらかしか、解はないのです。これは理論的には、パーコレーション理論における浸透閾値問題に帰着されます。

そして、爆発的な感染拡大「オーバーシュート」と呼ばれている現象は、感染者数の指数関数的な増加の現象をさしています。 この爆発的感染拡大が発生しますと、日本国の全人口に向かって1週間で約10倍の増加速度で感染者が増加していきます。この事態となりますと基本的に制御不能です。

停止させるためには極めて厳しい都市封鎖と移動制限を課す以外に道がなくなります。これが起こり始めるのは、4月9日頃、そして我々の意思決定でそれを制御できるのはその14日前の3月26日頃でした。

3月28日から関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県)は休日の外出自粛に入り、関西(大阪府、兵庫県)で外出自粛に入っていますので、明日からも引き続き人との直接接触を行わないという行動選択をこの地域において今後10日以上は取って頂きたい。これにより、東京都と大阪府でそれぞれここ数日確認され始めました、感染者数の急増、増加現象を抑え込むことが可能となると共に、近隣県で今後始まる急増に事前に対処できるようになると考えます。

この仕組みは、我々が日常的に行う人と直接接触を介在して感染が繰り返される連鎖(感染連鎖)を直接接触しないことで未然に止め、感染連鎖の増殖を止めることを意味しています。

更に全国的に見ますと、感染者数が3000人~5000人を超えた当たりで医療と隔離の容量を超過した段階で一気に現在の感染率が上昇し、この爆発的感染拡大が始まります。これは、これまで医療機関で隔離され感染が抑制されてきた効果が、医療設備と人員の能力上限を突破することで無効となり、感染者が未罹患者へ感染をさせることを押さえきれなくなることで発生します。

私の計算では、何もしないとやはり、4月9日からこの医療容量の超過が始まりまして、感染者数を1万人を超えたところから、10万人までその1週間後、100万人までその2週間後、1000万人までその3週間後と増加していきます。

おそらく100万人を超える当たりから、あらゆる産業セクターで感染者が確認されるようになり、産業活動を再起不能な形で停止する以外に道がなくなります。

更に、電力インフラセクターでこれが起こり始めますと、運転員、保守員が大量に発症することで、運転不能に陥る現象が起こり、発電量の著しい減少とともに、感染者数1000万人まで到達する時点で、全ての社会インフラが停止し、再起不能となるリスクシナリオが顕在化すると考えています。 水道やガス、通信、公共交通も全て何等かの形で常に電力を必要としますので、電力セクターの停止はすなわちあらゆる社会インフラの停止をもたらすのです。

このような指数関数的な爆発的な感染拡大(すなわち指数関数的な感染者数の急増)の状況が一旦始まりますと、どれほど医療設備を準備し、人員を尽くしても、どれほどの資源を事前に準備しても、社会インフラが停止するという意味でもはや現代社会の恩恵を受けて生活している誰も助かる方法がないのです。

すなわち、このウイルスとの闘いが、「長期戦」であるとか、「ウイルスとの共存が可能」であるという幻想は捨て、

「ウイルスを消滅させるか我々がウイルスに消滅させられるかの二者択一の問題であり、その意思決定は、我々がこの2週間の行動をどうするかで全て決まる」

ということを強く主張させて頂きたい。

具体的行動としまして、この2週間で不要不急の外出だけでなく、生命維持に直接かかわらないあらゆるヒトとの直接接触を伴う社会活動を完全に停止させるレベルまで経済社会活動を低下させて頂きたい。

「経済を蘇らせることは、死者を蘇らせるよりはるかに容易なことなのです。」

死者を蘇らせることは不可能ですが、経済は、我々が生きてさえいれば、いつでも再生可能なのです。 正しく短期決戦でこの疫病を終息させる。 この戦略以外には我々が生存できる選択肢は存在していないと考えます。

ひとりでも多くの方にご理解頂き、また、その意思決定ができる、この残りわずかな1日、2日において、一人でも多くの方にこのことを知っていただき、ご理解とご協力をお願いしたいと考えます。

どうか、この極めて重要な分岐点に我々が今いるのであるということを、ご認識頂き、一人でも多くの方にこのことをお知らせ頂きまして、国民の皆様が一人でも社会的距離戦略を採用し、2週間はヒトと会う頻度を最低でもこれまでの1/10以下に低下させて頂く活動にご参加をお願いしたいと考えます。

そして、爆発的感染拡大を抑止し、指数関数的な感染者数の増加局面に入ることを避け、この「疫病」を終息させる活動へのご参加とご協力を皆様にお願いしたいのです。 具体的な、行動については、以下に記載してあります。

• https://www.fttsus.jp/covinfo/our-action/
• https://www.fttsus.jp/covinfo/social-distancing/