ーピルビン酸ナトリウムの生みの親、基礎研究者田中雅嗣先生の講義ー
田中先生のピルビン酸への研究は、夢と希望に満ち溢れています。
そしてそのアイデアは特筆すべきところがありますが、これからの特許申請の兼ね合いもあり、ZOOM会だけの発表として、ブログ掲載では削除させてもらうところもあります。ご了承ください。夢に向かって走る先生を応援したいです。
レポートまとめに尽力くださいました、山ちゃんありがとうございます。
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私(田中先生)は 治療薬としてピルビン酸と 診断薬としてGDF15 を同時に開発してきた。
ピルビン酸ナトリウムに商品名として ピルビット(Pyruvit)という商品名まで考えた。
「私(田中先生)は理論と実験専門で 診療経験はありません」とのことです。
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ミトコンドリアは一個の細胞の中に数百から数千個存在している。
また、ミトコンドリアは細胞内の発電所と呼ばれ、水素と酸素を反応させ ATP (生物のエネルギーの供給源)を合成している。
「NAD+」と「NADH + H」は、水素の運び屋。体内で重要な働きをしている。 (その仕組の説明がありましたが、編者には理解不能でしたので、省略!)
水素の運び屋であるNAD+は ニコチン酸アミドと言う部分があって、この部分で水素の受け渡しをしている。
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ナイアシン は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB₃ とも言う。
「ミトコンドリア病の患者にはナイアシンが足りない。ナイアシンを補うことによって元気が出る」という論文が最近出た。
その「ナイアシン療法」というのは1日にナイアシンを500mg から1000 mg 摂取する療法。 (この療法は、筋肉にもいいし肝臓にもいい)
ナイアシンを大量に服用すると、顔が赤くなったり、顔がかゆくなったりする。 これはナイアシンフラッシュと呼ばれている。 ナイアシンフラッシュは、むしろ健康に良い。
私(田中先生)は、ビルピット(ピルビン酸ナトリウム)とナイアシンを同時に摂るとよいのではないかと考え、(その薬に)ピルビナックと言う名前を考えた。 (未完成)
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私(田中先生)が最初にピルビン酸が重要だということを知ったのは、ミトコンドリアDNAを失った細胞や呼吸機能を失った細胞を培養するには、ピルビン酸が必須だと実験を通じて知ったこと。以後(ピルビン酸の研究を)やりたいと思っていた。
ブドウ糖がピルビン酸になりさらに乳酸になる過程で、 NADHができても、NAD+ に戻されるので、収支はゼロ。しかしアミノ酸などを分解すると反応でNADHが生じるので、細胞全体としては水素(NADH)が溜まり過ぎてしまう。
そこにピルビン酸を入れると、水素(NADH)の過剰(過還元状態)が解消する。
ミトコンドリア機能が全くゼロでも、ピルビン酸を1分子飲むと ATP が少なくても2分子できる
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ピルビン酸はお酒の元。
発酵の時には、ブドウ糖がピルビン酸になって、さらにピルビン酸がエタノールに変わり、CO2が出てくる (途中でアセトアルデヒドもできる)
日本酒・ビール・ワインの醸造過程において二酸化炭素の泡が出ている時、そこにはピルビン酸が大量に存在している
一方、ヒトがお酒を飲むと、アルコールはアセトアルデヒトを経て酢酸(お酢)になる。この過程で、NADHが大量に発生し、過還元状態になる。そのため、大量飲酒で脂肪肝になる。
ピルビン酸を飲むと、アルコールが速く代謝され、脂肪肝を予防できる(この件で特許取得した)
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体が ATP を得る方法は二つしかない。
一つは解糖系(=細胞質で解糖系が ATP を作る)
もう一つは 酸化的リン酸化系(=ミトコンドリアでゆっくり ATP を作る)
解糖系は短時間に大きなエネルギーを生む。酸素はいらない。息を止めても走れる短距離走型。
逆にミトコンドリアは、ATPをゆっくりしか作れない。酸素が必要。呼吸しながら走る長距離走のようなもの。
トレーニングによってミトコンドリアが鍛えられると、次第に運動強度を上げて行った時、乳酸値が上昇し始めるのが遅くなる。
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乳酸は、今まで言われてきたような「疲労物質」ではない。
素早いエネルギー源としての糖類は、必要な時に瞬間的にエネルギーを出す力に優れている。
この時、体内では糖から乳酸になる反応が起こり、乳酸はミトコンドリアによって最終的に多くのエネルギーに変わる。
ただしミトコンドリアが 乳酸を使うための反応速度は 糖が乳酸に変わる反応速度よりも遅いので、結果、体内に乳酸がたくさん溢れてしまう。
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人が ATP を得る方法は上記の二つしかない。ミトコンドリアに期待できないなら、解糖系に頼るしかない。
乳酸自体には毒性はない。 NADH があまりにも多すぎると解糖系が動かなくなるので、解糖系を動かす方法としてピルビン酸ナトリウムを投与する。
L/P比(乳酸とピルビン酸の比率)が25.6以上になると、解糖系によるATP産生が停止する。
ピルビン酸を入れると(乳酸もできるが) ATPができるようになる。
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ピルビン酸に関する論文
ピルビン酸の最初の臨床応用。 2010年 小牧先生(国立精神神経センター)
「Pyruvate therapy for Leigh syndrome due to cytochrome c oxidase deficiency」
ピルビン酸療法の臨床評価について 2014年 藤井先生が第一著者 村山先生 古賀先生 他
「Efficacy of pyruvate therapy in patients with mitochondrial disease: a semi-quantitative clinical evaluation study」
最近のハーバード大学の研究
「LOXCAT」実験 (LOXCATとは LOX=乳酸酸化酵素と、CAT=カタラーゼを結合した人工酵素)
この人工酵素の働きは、「乳酸を乳酸酸化酵素で直接ピルビン酸に変え、その過程で生じた過酸化水素をカタラーゼで水と酸素に戻す」というもの。
ピルビン酸が足りなくて乳酸がいっぱいある人には効果があるのではないか?
現時点では、実験段階にとどまる。
古賀先生の次の論文 (まだ未発表)
「A ranfomized,placebo-controlled study of sodium pyruvate in patients with mitochondrial disease」 (ピルビン酸ナトリウムの無作為化プラセボ対照試験)
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ミトコンドリア病の赤ちゃんは、母体と切り離されると、高乳酸血症を発症する
胎内では、胎児は乳酸を作るかもしれないけれども、母体の方で乳酸からブドウ糖を糖新生系によって再生し、赤ちゃんに戻すということが行われている。
それと同じように、乳酸の高い人は、血液透析で乳酸を除いてその代わりにピルビン酸を入れるということも、可能かもしれない。
そのための点滴用のピルビン酸ナトリウムは、まだ未承認である。
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ドイツでの臨床試験の報告 1999年
特発性心筋症患者さん8人にピルビン酸ナトリウムを直接注入した結果、心臓が元気に動いたという報告がある
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2020までのピルビン酸ナトリウムの治験結果、アシドーシス(血液の酸性状態)が改善されたことがいちばん重要なことだと考えている。
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「きんさんも天国で頑張っていると思うので、私ももう少し頑張りたいと思います」