ミトコンドリア病と表現  思うままに

息子の介護をする自分は、彼の体調に振り回されている。
息子の調子の良いときは、ふと我に返って、鏡の自分のお顔を見る余裕ができたりして、、、思い切り調子が悪いときは、どこにぶつけてよいかわからない悲しみに打ちひしがれる、、、。
そんな折、
「芸術のもつ力を、私も信じています。私も研修医のころは病棟の患者さんにピアノをひいて聴かせたりしていたのですが、今はもうすっかり指が動きません。引退したらまた本格的に弾いてみたいと思っています。」
こうお話しくださった先生がいらっしゃいます。
ミトコンドリア病を取り巻く先生は本当に温かい。そしてみんな患者と真剣に向き合ってくださる。
この病の切なさを、感じてくださっているからだろうか。
そして先日の出来事。
友人の舞踏家加藤道行さんが、今年1月の脳梗塞様発作で、かなりやれることができなくて、ジレンマに陥っている龍のために、様々なジャンルで活躍するおもろい表現者4人をお連れしてくださり、龍と交流するお家劇場を開催することになりました。
加藤さんは、100歳超えても踊り続けた舞踏家大野一雄氏の弟子で、彼の最期を看取った方です。
加藤さんは介護の仕事をなさっていて、カラコロDanceプロジェクトの中のパーソナルセッションを行い、お家劇場といって、在宅の認知症の方のお宅を劇場に見立て、歌や踊りといったパフォーマンスを行っています。我が家でも舞踏で遊ぼう!というセッションをしてくださったこともあり、龍や母も、踊りや音楽で色んな人との交流を楽しむ時間に参加しました。
7月9日
朝から、失語でおもうように話せず、からだも、震え、脂汗で冷えて固まっていた龍。
はて、想像はしていたけど、おうち劇場には参加できないな、と、おもってました。
道行さんが、金魚のゴージャスワンピースではいってきてくれた瞬間、龍の目が輝きました。
なんと、さっきまで固まっていた体が、次第に柔らかなオーラに包まれて、2階のリラグゼーションルームまで、なめらかな足運び。
道行さんの導くままに、龍は彼の腿の上に頭を載せて横たわる。
私も彼の足元で、だいじょうぶよ~ 気流し。
歌手で、セラピストの莉玲 りれいさんがシンギング・リンの音を龍の波動に合わせてくれる。北條立記さんの奏でるチェロの叙情的な音で、胸がいっぱいひろがってゆく。優しい風を流すように佐藤ユリカさんが笛を吹く、皆さんの溢れる愛、自然にあるがままに受け入れる心持ちに、龍の体が柔らかく溶けてゆく。手足がしっとり暖かくなる。
龍 小学生
龍は、舞踏の世界に小さな頃からなじみ、かなり感覚的な人でした。そして、自然や生き物が大好きで、地球の生き物、宇宙の生き物、みんなに会いたい、、と心から望んでいる感覚的な人間でしたので、自由に生きることが許される、この場所で、久しぶりに笑みが出て、みなさんのからだから醸し出されるオーラにのって、自由に感じるままに過ごせた時間。
大切なものを取り戻した素敵な時間。参加してくださった皆様に感謝します。
わたしも、ガンクドラムに寄り添いながら、バチで鳴らして瞑想させてもらいました。みなさんの学曲も心地よかったです。チェロの生音がヨガ部屋に染み渡っています。
りれいさんのFacebookのコメント一部載せさせてもらいます。
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【ミトコンドリア病の治療する所が増えますように】
【暖かい時間】
海の生き物や鳥や生き物が大好きで
たくさんの絵や作品を作っている
龍くん。
龍くんはどんな人なのかな?
受け入れてもらえるかな?
龍くんどんなことに反応してくれるかな?
どんなお話をしてくれるかな?
どんなふうに時間を共有できるかな
ドキドキとわくわくで向かった
龍くんのお家
あるがまま、そのまま  の心で
zoom配信せずに龍君のタイミングで
加藤さんの主催するおうち劇場を
やってみようとなりました
北條 立記さんのチェロで始まり
佐藤 ユリカさんの優しい笛の音
それに合わせて、私の声や
加藤 道行さんの身体表現
シンギングリンの低音や
ガンクドラムも鳴らしてみる
高い声や音に反応して
新たな記憶が蘇って
少し眉間に皺がより
お話をし始めた
様子を見つつ
きららさんの「これは良い反応」という言葉に勇気をもらって、
歌も歌ってみる
龍くんが立ち上がって
たくさんたくさんお話をしてくれて
それに合わせて
海の生物になったり波や魚
クラゲなどになりながら
みんなで言葉や声を出してみた
きららさんのガイドもあり
みんなで輪になって
手を繋いでゆらゆらしていると
龍君が足踏みを始めて
輪になって踊る
龍くんが目をじっと見て
色んなことを話してくれる
昔の記憶、友達の名前、お父さんの事
心がじんわりと暖かくなる
母性本能のようなものが
胸に湧いてくる
龍君が私たちを拒否せずに
受け入れてくれたことが
ただただ嬉しくて
休み休みしばらく踊ったり
言葉を発し合ったりして居ました
龍くんも手があったかくなって
喜んでいると言う
手を握ってみた
あったかい^ ^!
龍君が絵を描くといって
部屋を出てゆき
みんなでついてゆく
歌や踊りは終わったが
龍君との一体感の後味を感じながら
龍くんの色鉛筆を次々と変えて
海の中の絵を描いているのを
見ていました
あったかいあったかい時間
みんなと来られて良かった!
どうかどうか
龍君にとって必要な治療が
病院で受けられますように
ミトコンドリア病の治療ができる医師や
病院が増えますように!
・・・・・・
心ひしがれて  泣き叫ぶ
外に向かって  感覚を取り戻す
だからわたしは踊る