
古賀靖敏先生をお迎えしてのオンライン勉強会(Zoom使用)は、盛況のうちに終了いたしました! 質問者21名 参加者38名
今回の勉強会では、「アルギニン治療」についてのご講演に先立ち、みどりの会顧問・田中雅嗣先生より、生化学的な視点から「アルギニンとは何か」について、5分間の導入講話をいただきました。
講演テーマ:アルギニン治療の開発経緯と実践のポイント
古賀先生は、何ヶ月も前から参加希望者の質問一つひとつに丁寧にご回答くださいました。当初は8枚だった講演用スライドも、そのやり取りを重ねるうちに、最終的には60枚にまで増加しました。また、先生のご提案により、講義は一方通行ではなく、各テーマごとに質疑応答の時間を設け、参加者との対話形式で進められました。そのため、事前にスライド資料と質問回答集を皆さんに配布し、予習の機会を設けました。ミトコンドリア病とアルギニン治療
通常、
ミトコンドリア病の説明ではATP産生や電子伝達系の話が中心に
なりますが、今回は「血管障害とアルギニンの関係」
に焦点を当て、これまであまり学ぶ機会のなかった分野について、
丁寧にご講義いただきました。・ミトコンドリアに異常があると、なぜ脳梗塞様発作が起きるのか・細胞や血管はどのような状態になるのか
これらを、詳細なスライドを用いて非常にわかりやすく解説いただきました。
また、「アルギニンはMELAS以外のミトコンドリア病にも有効か?」という疑問に対して、先生は「電子伝達系の酵素異常があるすべてのミトコンドリア病は、血管内皮機能不全を伴うため血管が収縮しやすい体質である」と強調され、豊富な臨床経験に基づく明確な見解を示してくださいました。
アルギニンの使用上の注意と副作用
副作用についても詳しい説明があり、
特に以下の点が重要であるとされました。・高クロール性アシドーシスが起こりやすい体質の方には、
腎機能の確認が必要・
連日アルギニン点滴を行うことのリスクについても注意喚起があり
ました
・アルギニンが血管外に漏れると壊死を起こす可能性があるため、投与時は慎重に
実践的なポイントのまとめ
1)アルギニンはすべてのミトコンドリア病で使用可能2)脳梗塞様発作が疑われた場合は、
画像検査を待たずに直ちにアルギニンを静注3)アルギニンの静注は3日に1回が目安。ただし、
高クロール性アシドーシスに注意
4)経口投与の場合は、血漿中アルギニン濃度168μmol/Lを目安
– 服用後1時間で採血し、吸収が悪い方は増量や1日4回の分割投与も検討5)MELASに伴う片頭痛にもアルギニンが有効
勉強会を終えて
古賀先生のご講演は非常にわかりやすく、用意されたスライドを通じて、患者さんの状態を理論的に理解することができました。その結果、今後の対応に対する根本的な考え方を学ぶことができました。参加者一人ひとりに真摯に向き合い、時に励ましの言葉をかけ、時に謝罪までされるそのお姿に、多くの参加者が心を打たれ、勇気をいただいたことと思います。本当に有意義で、学びの多い勉強会となりました。
2022年9月26日
ミトコンドリア病におけるアルギニン治療は保険での処方が可能です。
