順天堂大学で遺伝学的検査が保険診療で実施開始

 

                             写真 樋口氏
先日のつくばミトコンドリア学会で、順天堂大学の岡﨑康司先生が14日にプレスリリースのお話をしてくださいました。
ミトコンドリア病の遺伝学的検査が2022年に保険収載され、順天堂大学で保険診療という形で遺伝学的検査ができるようになりました。
まだまだ遺伝子検査が受けられないで悩んでおられる方も、治療法が安定せずに気苦労の多い方も、今後治療や創薬に向けてミトコンドリア病に明るい灯がともる思いです。

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ミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンスによる遺伝子検査の実施体制を整備

― 長年の研究成果をもとに保険適応の遺伝子検査を実現 ―

 
令和4年度診療報酬改定(厚生労働省)においてミトコンドリア病(*1)の遺伝学的検査が保険収載されました。従来の臨床検査項目にはミトコンドリアDNAの一部の配列を調べる検査しか存在しませんでした。そこで、これまで順天堂大学大学院医学研究科 難病の診断と治療研究センターがミトコンドリア病研究の一環として行ってきたミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンス(*2)を保険適応検査として実施すべく、順天堂医院臨床検査部(ISO15189認証取得)と協同して検査実施体制を整備し、2023年11月1日より、契約施設からの検査依頼に対する受付を開始しました。

本研究成果のポイント

  •  ミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンスを開発し、600症例の遺伝子解析を完了
  •  順天堂医院臨床検査部(ISO15189認証取得)における保険適応検査として受付を開始
  • ミトコンドリア病の診療から研究までをカバー

研究内容

順天堂大学大学院医学研究科 難病の診断と治療研究センター(難治性疾患診断・治療学)の岡﨑康司教授の研究グループは十数年にわたり、全国から寄せられるミトコンドリア病疑い症例の遺伝子診断に取り組んできました。ミトコンドリア病は先天性代謝異常症として最も発症頻度の高い疾患で、5000人の出生あたり1人が発症すると考えられています。国内の年間出生数を約100万人とすると毎年約200人のミトコンドリア病の赤ちゃんが誕生し、その半数以上の遺伝子検査が順天堂大学で行われてきたという計算になります。

ミトコンドリア病の原因遺伝子はミトコンドリアDNAだけでなく、核のDNAにも多数存在します。そこで研究グループはこれらの原因遺伝子を効率よく一括で調べることのできる“ミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンス”を開発し、効率的な遺伝子診断の仕組みを整えてきました。すでに600症例を超える解析が完了し、その有効性が十分に証明されています。

2020年1月~2022年12月の3年間に解析した449症例のデータを分析すると、この検査方法で遺伝子診断がついた症例は105件(23.4%)でした。このうち核遺伝子変異を原因とする症例が38件(8.5%)、ミトコンドリアDNA変異を原因とする症例が67件(14.9%)でした。その他、臨床的意義不明バリアントをもつ症例が35件(7.8%)見つかり、これらの症例はさらに詳細な解析に進んでいます。(図1)

順天堂医院 臨床検査部では保険適応のミトコンドリア病遺伝子検査として遺伝子パネルシーケンスを実施し、既知変異を報告します。その後、研究に同意されている患者さんについては難病の診断と治療研究センターが行う研究において、より詳細に解析されます。(図2)

今後の展開

AMED難治性疾患実用化研究事業におけるミトコンドリア病研究プロジェクト(通称:AMED村山班)の代表としてチームを長年率いてきた難病の診断と治療研究センター 村山圭教授が、2023年7月1日より順天堂医院 小児科・思春期科での外来診療を開始しており、ミトコンドリア病の診療から研究までをカバーできるようになりました。

順天堂医院におけるミトコンドリア病遺伝子検査(遺伝子パネルシーケンス)は保険診療の対象ですが、本検査のみでは遺伝子診断がつかない患者さんも多数いらっしゃいます。採血の際に研究参加への同意を表明(署名)頂いた患者さんに対しては、難病の診断と治療研究センターがミトコンドリア病研究として遺伝子解析を引継ぎ、全ゲノムシーケンス・RNAシーケンス・機能解析実験などより詳細な解析を行い、遺伝子診断確定を目指していきます。

用語解説

*1:ミトコンドリア病

ミトコンドリアは、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官で、重要な役割の1つとして生命活動に必要なエネルギー;ATPの生合成が挙げられます。ミトコンドリアの内膜に存在する呼吸鎖複合体が酸化的リン酸化反応を利用してATPを生合成しています。ミトコンドリアの機能低下によって引き起こされるのが「ミトコンドリア病」で、エネルギー産生が減少してしまうことによって全身の臓器や器官にさまざまな影響(けいれんや精神症状、筋力の低下、心筋症、肝臓・腎臓の機能低下、難聴など)が現れます。

*2:ミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンス

検査の対象となる遺伝子セットを「遺伝子パネル」、遺伝子パネルに含まれる対象遺伝子の配列を調べる検査手法を遺伝子パネルシーケンスと呼びます。本研究グループが開発したミトコンドリア病遺伝子パネルは、核のDNAにコードされた合計367個の原因遺伝子の他、ミトコンドリアに存在するミトコンドリアDNAの全周(16.6kb)も対象としている点が特徴的です。

学会発表

本研究成果は、第22回日本ミトコンドリア学会 年会(2023年11月14日)で発表されました。

演題:【ミトコンドリア病遺伝子パネル】累計565症例の解析、および保険診療体制の整備

演者:八塚由紀子1)、木下善仁1,2)、杉浦歩1)、岡﨑敦子1)、祁新菊1)、伏見拓矢3)、村山圭1,3)、大竹明4)、岡﨑康司1)

1)順天堂大学難病の診断と治療研究センター(難治性疾患診断・治療学)、2)近畿大学、3)千葉県こども病院、4)埼玉医科大学

本研究はJSPS科研費JP23H00424およびAMED難治性疾患実用化研究事業JP23ek0109625の支援を受け、多施設との共同研究のもとに実施されました。本研究にご協力いただいた患者様および主治医の先生方に深謝いたします。

龍の今後について ケアカンファレンス

PHOT byヒグチ

11月16日

メラスの次男龍についてのケアカンファレンスが行われました。

龍が最近暴力的になっていることもあり、重度身体介護の必要性もあるということで、生活の見守りでどれくらい必要なことがあるか、市の制度とのすり合わせの必要もあり、相談員の山田さんが多方面の方に声をかけ、ケアカンファレンスを行うことになりました。

2021年の再発から2度めのケアカンファレンスで、

市役所福祉科、保健所、生活介護もえぎ、生活介護+グループホームみのりの家

福祉サービスみちびき、相談員

7名の方が集まってくださり、家庭での希望を伝え、医療サイドのつながりを確認しながら、福祉面から、生活面から、どんな事が必要であるか、それに当たって制度を使って、龍に対してどのような介護が可能か意見交換してもらいました。

我が家には高齢の介護もあり、母親の仕事やライフワークなどとの折り合いもいればがら話が進んでいきます。

そして一番の目標が27歳の龍が龍の居場所を家庭とは別に持つという、グループホームの入所についてです。

みのりの家でのショートステイがこの一年でゆっくり行われ、他のミトコンドリア病の方の介護もあった御縁で、龍のお部屋が1室設けられることになりました。

一年間色々ありましたが、1週間に金曜日だけお泊りを体験し、入浴、食事、就寝と繰り返されたことで、龍の中にも、自分だけのお部屋が現実のものとしてあるというよろこびを感じています。先日ショートの風呂上がりに熱を出し、迎えに行きましたが、受けいれてもらえている安心した本人の様子を確認しながら、自宅に連れてきました。熱を出して心配するグループホームの仲間たち、そして介護する数名の介護者。とても暖かいやり取りがなされていました。本人にとっても、家もあり、グループホームもあり、という行き来が自然に受け入れているということを実感しました。

朝の目覚めはとても大事です。起きてからリラックスできるバルコニーでくつろぎ、好きなお肉の匂いが漂い、食に繋がる余裕ある介護。時として興奮冷めやらぬとき、寄り添って受け入れてもらえる安心感。今後もきっといろんなことがあるに違いありませんが、、。

 

今はグループホームお試し期間ですが、来年から週3日から始まるグループホームに向けて生活の見直しを図っている次第です。

 

今必要な介護を少しずつ地盤を固めていくことで、生活の道がつながることに期待しています。

感謝。

つくばミトコンドリア学会懇親会参加報告

 

2023年11月14日

三牧先生からお誘いがあり、つくばミトコンドリア学会プログラム|第22回日本ミトコンドリア学会年会 (jmit2023.com)

懇親会に参加してまいりました。

 

簡単なご報告遅くなりましたがさせていただきます。

 

POLG症候群の患者会https://polgfoundation.org/

代表のジュリーさんとお話しました。

私は英語が話せませんので、あらかじめ用意しておいた挨拶文(にゃんこさんの英訳付き)、と、イラストを渡しました。挨拶文を読んでいるジュリーさんは、龍とジュリーさんの息子さんがほとんど似た状態であるとわかると、目がうるんできました。私達は見つめ合い、お互いの心で励まし合いました。

それから先は、薬学博士の有澤先生が、通訳に入ってくれました。私はイラストを作品にしてミトコンドリア病の周知啓発を行っているように、ジュリーさんは素敵な素材でジュリーさんの息子さんがデザインしたPOLGという文字を入れた素敵な帽子を頒布してミトコンドリア病の周知啓発運動をしていました。
そして参加していたMCMの山田さんも見つけ出して、一緒に患者会としての意見交換もできました。山田さん英語が堪能でした。今後、海を超えた患者会同士の有効な交流が深まっていけることを望んでいます。

 

順天堂大学の岡崎先生のお話では、ミトコンドリア病の遺伝学的検査が2022年に保険収載され、順天堂大学で保険診療という形遺伝学的検査ができるようになるということです。

尊敬する古賀先生についての話もでました。私は、今なお慢性期に入り、視覚・聴覚障害が起きて大変苦労している方が、彼にとって有効なアルギニン点滴が可能にならないことを相談したいと思って今回の学会懇親会にも参加しました。そして数名の先生たちにお伝えし、再度時期を見て、先生たちに相談のメールを書こうと思っています。今回の挨拶文にアルギニンのことも入れようと思って、考えあぐね、やめましたが、いれたら、波紋は広がったかなと、思ったりしました。

 

●大竹先生が、北先生を紹介してくださり、いろんな相談に乗ってもらえるようにしてくださいました。9月くらいか?着床前診断のための患者会のコメントを大変よろこんでくださっていて、埼玉医大で行っているミトコンドリア病のかたの妊娠が続行しているという嬉しいニュースもいただきました。
明日くらいに、遺伝子検査の保険適応のニュースが流れるようです。

自治医大の小坂先生のアポモルフィンの研究を実際に行っている大学院の紹介もありました。
大竹先生からは、ミトコンドリア病の着床前診断のお話もありました。そして生化学研究の薬学博士 北 潔先生を紹介していただきました。

 

秦野から3時間かけてでかけ、しかも、ついた駅からバスを乗り間違え、駆け巡る大変な一日ででしたが、たくさんの専門医との交流を、今後のミトコンドリア病の皆さんとのつながりに活かしていけたらという思いでおります。

 

最後に拙い挨拶文ですが、付記しておきます。

2023年つくばミトコンドリア学会懇親会の手紙