ちょこっと遺伝の研究会 告知Ⅱ

 

遺伝子とは? DNAとは? 染色体とは? 遺伝とは…?

遺伝カウンセラーの由里子さんの温かいお人柄が溢れる遺伝の勉強会に参加して皆さんでふれあいませんか?

お話のあとに、質問や自由トークのお茶タイムも作りたいです。

今回はミトコンドリア病だけでなく難病の方、興味のある方にも広く公開いたしますので、ぜひ参加ください!
申込みはチラシに記載してあるのでそちらの参照ください。

2021年11月に一回目の由里子さんの遺伝についての茶話会を行いました。

その時、由里子さんのお話を聞いて、実は遺伝の話は病態解析にとても大切なことで、患者と共に生き抜こうと思う自分にとって、とても重要な情報であるということを知りました。

 

由里子さんからの素敵なお写真とコメントを載せますね。

 

由里子さんからのコメント

この夏の思い出ですが、初めての保育園での夏祭りと家族で航空科学博物館に行っての飛行体験。改めて、家族の大切さを感じる夏になりました。遺伝子レベルでみると、わたしもあなたもお隣さんもそんなに変わらない。遺伝を学ぶことは、自分を知ること、家族を知ること、周りの人を知ることだと私は思っています。そして、ほんの少し、今よりも気配り、心配りができて、みんなに優しい社会になることを願っています。ちょこっと遺伝について学ぶ「学びの秋」になればと思っています。

 

❤小競り合いもありながら、いつも笑顔でいられる家族はいいな(フェイスブックから)

ミトコンドリア病患者会フォーラムについて

 

今年もミトコンドリア病患者・家族の会(MCMの会)のミトコンドリア病患者会フォーラムが行われます。

専門医の意見をたくさん聞けるチャンスですね。

一般にも広く公開なさっていますので、ご都合つく方は参加してみてください。

 

 

日 時 2023年9月24日(日)
13時半~16時半
Zoomにて開催(出入り自由)
・記録のため、録画させていただきます。講演部分のみ、後日配信の予定です。

当日のスケジュール

1.開会
2.各専門医による最新研究や治療薬、その他ミトコンドリア病の最新のトピックについてのお話
3.事前にお聞きした質問や当日の講演内容についての質問に対しての質疑応答
4.閉会

* 申し込み *
9月8日(金)までに、下記アドレスまで、メールにてお申し込みください。
※申し込み用アドレス mcmmitochon@gmail.com
申し込み時に

① 申込みの方のお名前(ふりがな)
② 住んでおられる都道府県名
③ 簡単な自己紹介
④ 当日連絡がつく電話番号
⑤ Zoom招待をお送りするメールアドレスをご記入ください。

*また、専門医の先生方に質問のある方は、申込後、質問フォームをお送りします。
フォームに記入し、9月3日(日)までにお送りください。

参加してくださる先生方(五十音順)

大竹明先生
埼玉医科大学特任教授
難病センター副センター長

小坂 仁先生
自治医科大学小児科学教授

梶 俊策先生
津山中央病院小児科主任部長

村山 圭先生
順天堂大学大学院医学研究科
難治性疾患診断・治療学/小児科教授

主催
ミトコンドリア病患者・家族の会(MCMの会)

田中雅嗣先生勉強会&交流会 報告

 

田中雅嗣先生勉強会&交流会
2023年7月29日
「ミトコンドリアと私」

報告が遅くなり申し訳ありません。

あまりにもたくさんの情報と知恵とユーモアを頂き、どうやったらまとめられるかと思案いたしておりました。
当日使用したパワーポイントは著作権の問題があり、ブログでの公開は避けたほうが良いということで、概略にはなってしまいますが、ここでまとめさせていただきます。

 

ミトコンドリア病研究フォーラムなどでの田中雅嗣先生の講演はいつも難しくて、理解のついていけない私は目がくるくるでしたが、今回の勉強会では、前もって「患者家族の悩ましい生活に根ざしたような研究からの洞察」ということでお話をお願いいたしました。

先生も「ミトコンドリアと私」というテーマで自由にお話しいただき、色んな角度からのお話でとてもわかり易く、先生の熱意が伝わる「命のレポート」のように感じました。

参加者からも「患者の症状の不可解なモヤモヤや迷いが、田中先生の講義で整理されて、これからの生活にもすごく支えになる思いです。」とコメントを頂きました。

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勉強会の内容をごくかいつまんで説明させていただきます

まずは、(先生の)ご両親の進行した喉頭癌や広範な脳梗塞に出会った経験から、 医学の限界を感じつつ、「如何に生きていくか」という思いを胸に基礎研究を始められたというお話から始まりました。

続いて

1️⃣体の中でどのような形でエネルギーが作られるのか・・

2️⃣乳酸アシドーシスから命の守るためにはどのようにしたらよいのか・・・

3️⃣ミトコンドリア病の治療について

4️⃣ミトコンドリア病では使用を避けるべき薬について

5️⃣ミトコンドリア病に良い生活

6️⃣今後の田中雅嗣先生研究の断片

7️⃣参加者皆様との質疑応答

 

以下、概略ではありますが、項目ごとにまとめてみます。

1️⃣体の中でどのような形でエネルギーが作られるのか・・

1)私達人間は、(エネルギーの元である)ATPを増やすためには、解糖系で作るか、ミトコンドリアで作るしかない。

瞬発力が必要なときは、解糖系を使ってATPを作る。
持続的なエネルギーは、ミトコンドリアで、酸素を使って長時間有効なエネルギーを作る。

2)我々人間の筋肉は白筋と赤筋とからなり、お互いにやりとりをする

白筋:ミトコンドリアはあまりいない。解糖系が主で、乳酸を作る → 瞬発力を司る
赤筋:ミトコンドリアがたくさんいる。ピルビン酸に変換して代謝 → ゆらゆらうごく → 長時間有効なエネルギーをつくる

 

2️⃣乳酸アシドーシスから命の守るためにはどのようにしたらよいのか・・・
何を与えたら乳酸アシドーシス状態から命を守ることができるか。乳酸ができるとどうなるのか。)

1)乳酸を中和してタンパク質が動けるようにする

2)酸素を取り入れながらゆっくり走る。そのときには(解糖系ではなく)ミトコンドリアが活躍するので乳酸が出来にくい。

3)体が酸性に傾くと正常の生活ができなくなる。意識障害などがおきてしまう。

4)ピルビン酸を入れることによりエネルギーが作られる(と考えられる)

5)乳酸はどのように使われるか。
人間の筋肉は白筋と赤筋が混じっている。
お互い近くにいて、白い筋肉が乳酸を作ると赤い筋肉に渡すというやり取りがある。


質問:
メラスの息子が、例えば、入浴後の疲れが出ているときなど、動けなくなり口がカクカクして涎が出ているようなときは、どのようなことが体に起きているのか・・・

答え:
脳がエネルギー不足に陥ると神経活動が低下する。即ち意識消失が起こっているのだと考えられる。

体の中の代謝を想像してみよう!
体の中では乳酸を作る細胞と代謝する細胞が別々に存在する。

●酸素を供給しつつ、深部熱を下げるなどして様子を見る。しばらくして落ち着けばよい。

脳の神経細胞とグリア細胞の物質代謝のアンバランスが痙攣を起こす。
痙攣やてんかんは抑えないとミトコンドリアには良くないので抑える薬を医師に処方してもらう。

●錯乱・意識障害・幻覚・せん妄などの様々な精神症状の発生時、神経興奮が起き、エネルギーがたくさん使われてしまう。
乳酸が作られ、ミトコンドリアは大忙しになるので、それを抑える本人の症状に見合った抗精神薬が必要である。


質問:
体内でエネルギーが作られる時、酸素はどのように使われるか?

答え:
ゆっくりした運動は赤筋が働いて、酸素を徐々に使う。
運動の強度を上げると白筋が働き、乳酸が出てくる。
血中乳酸濃度が急増する領域を「乳酸閾値」という。

熟練したマラソン選手は、乳酸がたまらないようにミトコンドリアをうまく使う(乳酸閾値を超えないギリギリの線で走る)
そうすると持久力がついてくる。

一般にミトコンドリアが元気に働くために早歩きが推奨されるが、ミトコンドリア病の患者では往々にして乳酸が増える。
(ミトコンドリアの活性が弱い人は、軽い運動でも乳酸が上昇する)

ミトコンドリアの機能が低下した人は歩くくらいでも乳酸が上がる
なので、
・感染症に注意する(高熱に弱いから)
・興奮しすぎないことが重要。
・そのひとに合わせた軽い運動をおこなう。(乳酸閾値を超えない範囲を見定める事が重要)

 

3️⃣ミトコンドリア病の治療について

●脳筋症の治療

1)脳の血管に酸素を送る血管が、一酸化窒素が足りないことによって平滑筋が収縮し、血管攣縮を起こしてしまう。これが「脳卒中様発作」である。

内皮のところで一酸化窒素を生み出すと、平滑筋が広がって酸素が取り入れられる。
アルギニン点滴はこれを狙った治療法である。

2)コハク酸ナトリウムを取るとミトコンドリアが元気になる
まだ仮説の段階であるが、細胞の中でエネルギーが足りなくなって「コハク酸」がいっぱいたまったときに、他の細胞に情報伝達をしていると言われている。
「白筋が少なくなって赤筋が増える。しかし変異したミトコンドリアが増えずに良いミトコンドリアが増えればいいなあ…ということ」(先生談)

3)ピルビン酸ナトリウムは、メラスなどでは複合体Ⅰの活性がなくなるので、ピルビン酸を入れることで元気になる。

 

4️⃣ミトコンドリアに避けたい薬品 (詳細については省略)

バルプロ酸

アミノグリコシド系抗生物質

【12S rRNA遺伝子に特異的な点変異(例:m.1555A>G)を有する人は投与を避ける】

ビグアナイド系糖尿病薬

ニューキノロン系抗菌薬

などの中にも避けたい薬があるようです。

 

5️⃣ミトコンドリア病に良い日常生活

過労を避ける

十分な休養と睡眠

バランス良い食生活

サプリメントの過剰摂取に気をつける

適度な有酸素運動

感染症など、発熱に気をつける

 

6️⃣今後の田中雅嗣先生研究の断片

田中雅嗣式独自の、尿への乳酸排出薬の開発を考えたり、コハク酸ナトリウムの効果についても今後も研究してゆきたいとのことです。先生の探求はバランスを持って続けられるものと信じています。

 

7️⃣参加者皆様との質疑応答

2部では患者家族の質問にお答えする形で、丁寧にご返答くださいました。

長野県立こども病院 神経小児科 本林光雄先生も参戦してくださり、その都度的確なご回答を賜り、大感謝。ありがとうございます。

最後に
田中雅嗣先生のお話をまとめさせていただき、今回の講義はミトコンドリアへの愛、そしてミトコンドリアを患う患者家族への愛に満ち溢れていたお話であったと再確信しました。

田中雅嗣先生へ感謝の気持をもって結びの言葉とします。

2023年8月14日
みどりの会代表 伊藤千恵子

小坂先生のお話 日本における遺伝子治療2023

 

 

小坂先生の遺伝子治療についてのお話が遺伝性疾患プラスに掲載されていましたのでご紹介いたします。

 

小坂 仁 先生

自治医科大学小児科学教授、自治医科大学とちぎ子ども医療センター長。博士(医学)。1987年に東北大学医学部を卒業後、カリフォルニア大学サンディエゴ校博士研究員、神奈川県立こども医療センター神経内科部長などを経て、2013年より現職。日本小児神経学会理事、日本小児神経学会関東地方会運営委員長、日本ミトコンドリア学会理事、日本小児科学会代議員、日本てんかん学会評議員、国際協力遺伝病遺伝子治療フォーラム評議員、神経代謝病研究会幹事、Brain and Development編集主幹。

 

遺伝子治療の開発状況について

それぞれの疾患に対して、いろいろな形で、国内外で、研究が進められていますが、全ての現状を調べて皆さんにお知らせするのには、膨大な時間がかかります。今回は、ご質問頂いた疾患のうち、私が現在把握している範囲で、国内外の治験/研究がそれぞれ実施されているものを、下記にお示しします。2023年5月に行われた米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)で確認した最新情報も含まれています。

海外で治験実施中…レット症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ムコ多糖症2型、網膜色素変性症、ファンコニ貧血

国内で研究実施中…MECP2重複症候群、低ホスファターゼ症

海外で研究実施中…脊髄小脳変性症、ミトコンドリア病、エーラス・ダンロス症候群、アンジェルマン症候群、線毛機

全記事のリンクを貼っておきます。
https://genetics.qlife.jp/features/gene-therapy-2023/Q-and-A

田中雅嗣先生の講義・交流会 告知

 

 

”良いおくすりを”と円空作薬師如来像に願掛けする田中雅嗣先生は粘り強い研究者です。
ミトコンドリアの基礎研究から各種疾患との関わり、創薬への真摯な思いをつなげる先生から、生きる力をいただきたい・・・。

 

ミトコンドリアは、生きるためにとてもたいせつないのちのつぶ。
ミトコンドリアとは一体どんなもの?

ミトコンドリアが神経変性疾患や悪性腫瘍、感染症、免疫疾患など様々な疾患.病態に関与していることが明らかになっています。

ミトコンドリア病患者家族に限らず、難病・障害で悩まれる方、医療・介護関係者、興味ある一般の方、現地参加もzoom参加もぜひ気軽にご参加ください。

今回の企画では、ミトコンドリア研究者田中雅嗣先生にミトコンドリアについて自由に講義していただき、ミトコンドリア病患者家族の皆様も、医療関係の皆様も、一般の興味ある皆さまも、「ミトコンドリアって一体何なのだろう」という原点に立って、自由に交流していただければと思っております。

 

 

 

さて、みどりの会では、茶話会をつうじて、ミトコンドリア病を患い、耐え難い様々な症状で押しつぶされそうになる日々を送っておられる方の悩みもたくさんうかがいます。私事ですが、次男のメラス発症から9年が経ち、様々な体調の変化、精神症状に苦しむ日々です。毎日の煩瑣な介護で広報にまで手が回りませんが、今回の勉強会の情報の拡散にご協力をいただけましたら幸いです。
締切の期日も7月7日まで伸ばしました。

どうぞよろしくお願いします

ミトコンドリアみどりの会 伊藤千恵子

ピルビン酸ナトリウムの生みの親、基礎研究者田中雅嗣先生の講義・交流会告知

 

順天堂大学 客員教授
イムス三芳総合病院 臨床検査科 勤務

 

みどりの会では、田中雅嗣先生をお呼びして、勉強会を行うことにいたしました。
ミトコンドリア病に限らず、すべての難病の患者様・医療関係者等に公開いたします。

日程:7月29日土曜日 13時から16時まで
所:神奈川県秦野市みどりの会会場。(zoomでの参加もできます)

プログラム(予定)

一部 13時より。
・田中雅嗣先生のレクチャー
・患者家族からの質疑応答
・会費無料

二部 16時より。
・ひまわりつぶカフェにて 田中雅嗣先生を囲んでの懇親会。
・ワンプレート式軽食 会費1500円(アルコールなど飲み物は別料金)

zoom参加人数には制限はありません。
会場参加は10名までとさせてください。

申し込み締め切り:7月7日(6月30日から変更)
予約・問い合わせ先:2022midorinokai@gmail.com
電話:090-7196-2751

①お名前
②ご住所(住んでおられる都道府県、市町村までで結構です)
③簡単な自己紹介(患者様の場合は病名・年齢など。一般の方はご職業など)
④当日連絡がつく電話番号
⑤zoomでの参加をご希望の方は、zoom招待状受け取り用のメールアドレス。
(パソコンでzoomに参加なさる方はパソコンのメールアドレス。スマホで参加なさる方は、スマホで受信できるアドレス。)
⑥ひまわりつぶカフェ来場か、zoom参加希望かをお知らせください。
以上をご記入の上 お申し込みください。

田中雅嗣先生にお聞きしたいことなどもあればお気軽にお寄せください。

※Zoomに不慣れの方は、遠慮なくお書き添えください。技術スタッフが事前にzoom設定のお手伝いを致します。

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田中雅嗣先生はとても優しくて、ロマンチスト。生化学的な面からのミトコンドリア研究の第一人者です。

以前、ピルビン酸ナトリウムについて、zoom会を開いて先生よりお話を伺いましたが、ピルビン酸に対する思いに凄まじい力を感じ、いつもパワーを頂いております。

しかしフォーラムなどでの先生のお話はとても難しい。
生きるわたしと向き合うためにも・・・
介護している息子と向き合うためにも・・・
私達の体の中で起きている諸々の現象と、ミトコンドリアの関係を知りたい。

今回は、ミトコンドリア病に限らずミトコンドリア全般についてのお話をしていただこうと思います。

以下は、先生から頂いた、今回の勉強会のテーマと自己紹介文です。

テーマ:「ミトコンドリアと私」
太陽によって地球が温められ、風が起き、雨が降る。
太陽の光のもとで植物が成長し、動物は植物を食べ成長する。
ひとが生まれ、大きくなり、活動し、年取っていく。
わたしの中でミトコンドリアは何をしているのか。
わたしの中でどのように食べ物がエネルギーになるのか。
ミトコンドリアに関する研究は、エネルギー産生機構、生化学的診断、遺伝子診断、遺伝子治療、生殖医療など日進月歩です。
私が関与してきた研究は、ほんのわずかです。
みなさんとの自由な交流を通じて、新しい研究の動向について少しご紹介したいと考えます。

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自己紹介:
1978年からミトコンドリアの基礎研究に取り組んできました。
チトクロムc酸化酵素の精製と結晶化
電子伝達系サブユニット欠損の解析
ミトコンドリアDNA欠失の解析
ミトコンドリアDNA変異の探索
制限酵素SmaIを用いた変異ミトコンドリアDNAの選択的除去法の開発
長寿に伴うミトコンドリアDNA多型の解明
生活習慣病・神経変性疾患に対するミトコンドリアの関与
ミトコンドリア病に対するピルビン酸療法の提案
ミトコンドリア病の診断薬GDF15の開発
ケニアの長距離走選手の全ゲノム塩基配列解析

プロフィール:
主な最近のテーマ:シルバーパス依存症・孫鉄と爺鉄・孫バスと爺バス
子供のころ なりたかった:考古学者・天文学者
よく読む本の作者:半藤一利
最近読んだ本:柿埜真吾「自由と成長の経済学」(「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠)
エマヌエル・トッド「我々はどこから来て 今どこにいるのか」
ジェレミー・デシルヴァ「直立二本足歩行の人類史」

ミトコンドリア病においてのアルギニン治療の周知・啓発について

 

 

ミトコンドリア病においてのアルギニン治療の周知・啓発について

みどりの会では、2022年9月27日にミトコンドリア病におけるアルギニンの使用が社会保険診療報酬支払基金の審査で認められ、公的な保険給付の対象となり、アルギニン治療がミトコンドリア病の標準治療の一つとして認知されたという認識のもと、アルギニン治療の周知啓発をすすめてまいりました。

しかし現実は厳しく「アルギニンが病院の採用薬になっていない」などの理由で、いまだに経口摂取や点滴静注の使用をしていただけないという患者家族からの相談を多数受けます。

ミトコンドリア病の患者で希望する皆さまが、アルギニン治療を受ける事ができるように周知啓発に努めてきたつもりですが、解決の糸口が掴めません。

薬事関係に詳しい先生に、アルギニン治療を全国の病院で採用していただくためにはどうしたら良いかとおききしたところ、アルギニン治療を求めて断られた事例をまとめて、先天代謝異常学会や小児科学会を通じて、学会員に周知してもらう必要があるという貴重なアドバイスをいただきました。

そこでみどりの会では、ミトコンドリア病と診断されている患者が、
1)経口摂取を求めて断られたケース、
2)急性期においてのアルギニン静注点滴を断られたケース、
3)慢性期の体調不良時にアルギニン静注点滴を断られたケース
をそれぞれにまとめていきたいと思います。

ミトコンドリア病と診断された方で、主治医にアルギニンの使用を求めても断られた方がいらっしゃいましたらその経緯をコメントに入れて、ぜひご一報ください。口外することはいたしません。

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アルギニンは、特効薬ではありませんが、ミトコンドリア病の患者家族の生活を潤す薬剤だと思い、メラスの次男とともに9年を過ごしてまいりました。
今後は、慢性期において、食が通らなくなったり頭痛や吐き気で悩む場合、視力・聴力の不調時など、どのような病態でアルギニン点滴静注を使えるかの基準を専門医に作っていただくなどにも取り組んでいきたいとも思っております。
アルギニンを求める患者が1人でもいたら、そこからスタートする気持ちで、ミトコンドリア病におけるアルギニン治療の普及と定着を願って、事を進めたいと
思います。

ミトコンドリア病におけるアルギニン治療の有効性を、より多くの医療関係者に認めてもらい、
全国どこの病院でも、
標準治療の一つとして、
施術されるようになることを願って、周知・啓発活動を続けていきたいと思います。

みどりの会代表 伊藤千恵子 連絡先 himawarinotubu@gmail.com

 

アルギニン経口薬について

アルギニン点滴静注について

 

かながわなんびょうれん

 

2023年さくらばたけまつり 難病ネットワーク&かながわなんびょうれん

ミトコンドリア病の患者会を行っていて思うことは、ミトコンドリアと向き合うことの大切さです。

いのちを支える為のエネルギーを生み出し、生命を維持するために欠くことのできないミトコンドリアが関与する病はとてもたくさんあります。

そして私達が生活する上で大切なことは、地域の人とのつながり、ひいては様々な病や障害を持つ人・高齢者などへの理解が深まってゆくことであると思います。

去年、NPO法人難病ネットワーク(代表 恒川信一さん)に入会し、今年、かながわなんびょうれん(理事長 高野元さん)に、ミトコンドリア病を患った息子を持つ一個人として、入会いたしました。

かながわなんびょうれんの会報ができました。去年から活動再開し、今回の会報は力を入れて仕上げられています。
私のコメントも、拙い文面ではありますが息子龍のイラストとともにも取り上げてもらいましたので、こちらに掲載させてもらいます。(文面が多いので関連部のみ掲載。あしからず)

穏やかな日々のためにできること 徒然なるままに。

 

穏やかな日が続くことが最大の幸せです❤

みどりの会では小児発症、成人発症の茶話会を、度々行い、交流しています。

 

成人発症の茶話会?では、毎回出ている内容が「ミトコンドリア病の精神症状」についてです。

それぞれ病歴も症状も違いますがミトコンドリア病ならではのこととして、お互いに感じあって、良い知恵はないか考え込みます。

ときに精神安定剤の効果についても、照らし合わせてみたり、癲癇の薬についても言及します。しかし薬の効き目は人によって違いますので、参考程度です。

 

?先日こどもの日近くの戸川公園にお散歩 吊り橋の上で

息子の場合は、高校時代の釣り部の仲間が離れていってしまうことが一番のストレスだったようで、発症当初三廻部(みくるべ)の精神科医によくその相談をしていました。精神科医が別の病院に移ってからはなかなか相談できる先生が見つからずい2020年は、釣り仲間の死を経験し、荒れる日々でした。

その後再発。治療も上手くいかず、失認、失語、失行、胃ろう増設。

進行は甚だしいとは思いますが、感覚的なものは、健在ですので、気持ちで行動をつなげている感じです。

2014年発症から、息子の生活をいかに楽しくして行けるかを考え、通所にも通い、進行してゆく彼に合わせて更に通所を増やし、様子をいつも見てきましたので、進行が甚だしい今も、平日の通所は楽しく通い、仲間と行動をすること、ほほえみ合っては、確認しているようです。

家では、不穏になる彼に、母も感情的にもなったり落ち込みますが、最終的には体の辛さを思えば、気持はよく分かり、26歳の理由なき反抗?とも思うようにして過ごしています。

私は自分のライフワークを実行するために周りの皆さんの協力を得、なんとか表現活動も実現したいと望んでいます。むしろ、息子の肉体や精神の辛さをばねに、独自の世界に取り組むという感じでしょうか。

 

メラスの精神症状について

メラスに限らずに、成人発症ですと、中途障害の苦しみを本人が味わって生活をしなくてはいけません。できていたことの記憶が、前に進むことを阻害することもあります。

息子の場合は、失行が進むと、できることが減って、絵を書くこともできずになると、絵を書くことでずいぶん励まされていたのだなあとつくづく思います。でも最近は、ダイビングの本に夢中で、人間が海に潜る行為を想像してか、楽しみを見つけているようです。本の画像を、指でなぞってみたり、波の模様を鉛筆でなぞっているようなときもあります。何かしら昔の良い思い出をなぞっているのかと思いますが、あまり思い詰めてみ始めると、なぜこんなふうになったんだ!とばかりに、自分の体をつついてみたり、釣りの道具を放おり投げてみたりします。(放下体操と言いますが、体をねじって、ため息をつく感じでしょうか。)

 

精神科の先生は発症当時の息子の様子を見ていますから、かなり進行が進み、精神症状が不安定になったことも理解し、精神剤の見直しを積極的に行ってくれました。そしててんかん薬と精神障がいの関係についても説明をしてくれます。

ミトコンドリア病の痙攣について

一般的なてんかんと違って、意識が薄くなって起こる痙攣は 多くの場合エネルギーが落ちて起きた症状なので、その場合はしばらくエネルギーが補充されるのを待って観るべきでむやみにてんかんの薬を増やすべきではないのではないかと言う見解です。

 

興奮が収まらない日が続く場合は

今飲んでいる精神剤を少し増やして様子を見る。興奮が落ち着けば薬の量を元に戻す。

エネルギーが落ちる状態についても、説明してくださるので、精神科の診察は母のみですが、30分以上してくださり、安心感で包まれます。

 

ミトコンドリア病についてはミトコンドリアの状態がいろんな症状を起こすので、今の精神状態が、認知から起こるものなのか、高次機能障害によるものなのか、癲癇症状によるものなのか、脳の病変によるものなのか、各臓器の異常によるものなのか、それぞれが色々に絡み合っているとは思いますが、繰り返される症状も日によって違ったり月ごと?季節ごと年令によって?出来事によって?変わっていくもののようで掴みどころがなく。それぞれの精神症状について相談できる医師も少なかったりして、家族はとても戸惑ってしまうことが多いと思います。

病院の外来も数分で処理される事が多く、それぞれの生活をしっかり把握してもらいたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

話を聞いてもらえる仲間や相談できる支援の方が周りにたくさんいると良いと思います。

 

みどりの会の茶話会に、参加したい方はご連絡ください。

himawarinotubu@gmail.com  伊藤千恵子